救済-5
デニス王子に元いた客間へ連れて行ってもらい、
ティアラは部屋に入るなりへなへなとその場にしゃがみこんだ。
(ラウル・・・お願い、もう私我慢できないよ。
どうして私ばっかりこんなひどい目にあわなくちゃいけないの?
こんな所から早く連れ出して・・・。)
ティアラが声を殺すように泣いている間に、日が沈み満月が夜空に輝いていた。
もう、夜になってしまったのね。そう思うと同時にぐぅぅっとティアラのお腹が鳴る。
そう言えばお腹空いたな。と思っていると、部屋の扉をトントンと叩く音が聞こえた。
誰かごはん持ってきてくれたのかな?
そんな事を思ったが、また何かの罠だと疑う事も覚えたティアラは、
そのまま扉を開けずに尋ねる。
「・・誰ですか?」
すると帰って来た返事は聞き覚えのある、少しかすれた低い声だった。