波乱-3
王子に通された新しい部屋は、最初の部屋よりも少し小さいく
ひっそりとした場所にあった。
ドミニク王子は離れにあるこっちの客間は、
日が当たらないからあまり好きではないので来ないだろうし、
来させないように手配すると言われたが、
彼女は迎えが来るまで極力部屋の外へ出ないように気を付けた。
こんな広い城内でも、ドミニク王子と鉢合わせすることを避けるためだった。
部屋に籠っている間、ティアラが退屈しないようにデニス王子は刺繍セットや
本を持ってきてくれた。
最近ようやく字が読めるようになったティアラには、本は難しかった。
刺繍もやったことがなかったので手つかずだったが、
もうすぐ会えるラウルの事を心待ちにして一日を過ごしていた。
しかし国王と話してから数日経った頃、事件は起こった。