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アダルトビデオの向こう側
【熟女/人妻 官能小説】

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3.救済者-3

 高二の夏のある日、将太は学校の帰りに街のレンタルビデオショップに立ち寄った。
 噴き出していた汗を半袖のシャツの袖口で拭いながら、彼は二階への階段を上った。
 会員のカードを手に持ち、アクションもののDVDが並んだ棚の間を歩いていた彼は、その通路の先にあるアダルトコーナーにちらりと目をやった。嫌でも目立つ場所にディスプレイされた新作コーナーに立てられた数枚のDVDのタイトルには『カヨコ――犯される人妻』と赤いショッキングな文字が大きくデザインされている。そしてその下には、黒いパンストを無理矢理破られる赤い髪の女の写真があった。
 将太の鼓動はわけもなく速くなっていた。
「カヨコ……嫌だな、母ちゃんの名前に似てる」

 結局何もレンタルすることなく家に帰った将太は、今は誰も使わない両親の部屋に忍び込んだ。そこには亡くなった父親のものも、家を出て行った母親香代のものも全てそのまま残されていた。

 将太は部屋の奥にあるタンスの一番上にある引き出しを開けてみた。そこには母香代の夏物のシャツやブラウスがきちんと畳まれて収められていた。
 二番目の引き出しにはスカートやベルト、三番目には少し厚手のニットのセーターが入っていた。
 そのどれもが将太には見覚えのあるものばかりだった。ここに入れてある全てを母が身につけていた姿を、彼は今でもありありと思い出すことができる。

 自然と彼の目には涙が滲んでいた。
 将太は一番下の引き出しを開けた。そこにはショーツやブラジャーが入っていた。彼はその片隅にあった小さく畳まれた黒いパンストを見て息をのんだ。涙を乱暴に右腕で拭って、それをじっと見つめていた将太は、決心したように手を伸ばし、そのパンストを手に握りしめて引き出しをバタンと閉め、慌てたようにその部屋を出て行った。




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