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アダルトビデオの向こう側
【熟女/人妻 官能小説】

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1.自分との決別-7

 次の日、リカの言った通り二人が住むアパートのリビングで『若奥様リカ〜エッチ宅配便』の撮影が行われた。

 朝8時頃、香代とリカは撮影場所になるそのリビングでトーストとハムエッグの朝食をとった。
「あの、リカさん、人に見られながら、その、エ、エッチするのって、どんな感じなの?」
「別に何とも思わなくなったわ」
 トーストにべたべたイチゴジャムを塗りつけながらリカは言った。
「そりゃあ最初は緊張したわよ。でも監督にいろいろ言われるうちにその気になっていったのも事実かな」
「その気になるものなの? だって、お相手って初めての人で、別に好きな人ってわけじゃないんでしょ?」
「お金のため、って割り切っちゃえば平気よ。演技でごまかせば何とかなるしね」
「演技か……できるかな、私に」
「AV女優ってみんなそうなんじゃない? ま、今日の撮影を見て参考にしなよ」
 リカはそう言ってウィンクした。
「でもね、ラッキーなことに今日のお相手は一郎君。あたいのお気に入りの子なんだよ」
「一郎さん?何度か共演したことがあるの?」
「三回ぐらいかな。あの子あんまりイケメンじゃないけどクンニがうまくてさ、あたいいつもそれでマジでイきそうになるもん」
「そ、そう……」
「だから入れられて動かれるともうダメ、カメラなんか意識できなくなっちゃう。あ、この場合思いっきりその気になっちゃってるってことよね」
 リカは屈託なく笑った。

「あ、あの、」
「なに?」
「ちゃんと、その、避妊とかしてるの?」
「当然じゃない。あたい達は毎日薬飲むのが義務。社長に聞かなかった?」
 香代は首を振った。
「じゃあまだもらってないんだ」
「何を?」
「ピルだよ。今まで使ったことないの? 香代さん」
「ええ」
「さすがに妊娠したらまずいでしょ。入れて中出しが今や当たり前のAV業界だし」
「な、中に出されるの?」
 リカはあからさまに呆れ顔をした。
「香代さん、あんたAV観たことないの? 35にもなって」
「ないわよ」香代は少し反抗的に言った。
「お嬢様か」
「そんなんじゃないけど」

 リカは真顔で香代に身を乗り出した。
「あたいもそこはちょっと心配だった。でも相手の男優はみんなちゃんと検査受けてて、感染症の心配はないわ。彼らは定期的に診察受けて、その最新の診断書を持って来ないと撮影できないっていう決まりがあるぐらいだもの」
「そうなの」香代はほっとため息をついた。
「あたい達も受けるんだよ、診察。月一で。近々連れて行ってもらえるんじゃないかな、診療所に」




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