〜 美術その4 〜-1
〜 2番の美術 ・ 造形 〜
Don't think ,feel ―― 突き詰めれば美的感覚なんて、そんなものかもしれません。 どれだけ理詰めで考えたところで、一瞬の閃きが上回ることはザラにあります。 美術が扱う造形――物のデザイン全般のこと――なんて最たるものですよね。
学園で取り組む造形には『プロダクト・デザイン』、『ユニバーサル・デザイン』、『カラーデザイン』、『錯視デザイン』、『モダンテクニック・デザイン』、『ワード・デザイン』、『ポスターデザイン』があります。 日常慣れ親しんだ道具から、啓蒙を目的とした表現まで、扱う対象は留まるところを知りません。 ただし、私たちはあくまでも『牝』の自覚から離れることは許されおらず、必然的に造形も『牝のための』ものに限定されます。 造形の時間を通じて私たちが取り組む内容を簡潔に説明すると、『とにかくたくさんの対象を工夫し、より牝に相応しい世界を構築すること』だそうです。
……説明されてもいまいちピンと来ません。 カタカナ言葉を羅列しただけで理解できるほど、日本語は便利じゃないと思うんです。
そんな私の内心が顔に出てしまったんでしょうか、【B2番】先輩は肩を竦めると『バトンタッチです〜』といって【B29番】先輩に水を向けました。 『しょうがないなあ』とため息をついて、【B29番】先輩は首をふりつつ近づいてきます。
『私の成績もまだマシな方だったんだよね、デザインに関しては』といって、【B29番】先輩は自作のデザインを書いた用紙を、机に並べてくれました。 百聞は一見に如かず、百読は一触に如かずです。 学園の造詣を前にすれば、きっと私が将来取り組むべきデザインのイメージも浮かぶってもんです。 キュッ、頬っぺたを軽く抓って眠気を払い、私は先輩の作品に目を凝らしました。
……。
『プロダクト・デザイン』――牝が生活し、牝らしく生きるための道具や機械のデザイン、また、それから生み出される製品のことをいいます。 具体例を挙げると、例えば『O字パンツ』は、持ち物を露出させることに悦びを感じ、いつでも挿入を受け入れる姿勢に繋がり、脱衣の手間を省いて排泄できる簡便さを兼ね備えた牝に相応しいデザインといえましょう。
ということで、ここからは【B29番】先輩がデザインした日用品です。 私の感想を付けてしまうと陳腐になってしまいそうなので、なるべく感情的にならず、淡々と説明しようと思います。
『〆股縄』は、トイレットペーパーの代わりにデザインした製品です。 排泄後に縄を跨ぎ、股間を擦りつけることでこびりついた便塊を縄で落とすことができます。 同時に膣を摩擦して、股間越しに気持ちよくなれる工夫もしてあります。 縄には淫汁洗剤が浸してありまして、膣汁を分泌することで洗浄能力が高まります。 仮に軟便等で汚れても、股間を擦って疑似自慰に耽っていればすぐに綺麗になる寸法だそうです。
『おまんこ様猫皿』は、皿の底に自分の持ち物をあしらったお皿です。 本来は床においてミルクを注ぎ、舌で掬って飲むためのお皿ですが、おまんこの模様が底に浮き出ていることで、舐めながら疑似的にセルフクンニの気分が味わえます。 皿の底はゴムで襞をつくっているため、膣口や膣壁を舐める練習にもなって一石二鳥です。
『ニップルパッド・ペンシル』は、乳首の表面を忠実に再現した穴あきゴムです。 穴に鉛筆を嵌めれば、乳首をしごく感覚で鉛筆を持つことができます。 クニクニ、ぐにぐにと歪むゴムの感触を味わいながらペンを走らせれば、自然と自分の乳首も勃起して、淫らな感情が文字に現れるということでした。