屈辱-5
「・・・あの、私は他に好きな人がいるんです。
だから、あなたのことは好きになれないと思います・・・。」
「王族の者はね、好きな人とは結ばれることは難しいんですよ。
そういう運命なんですよ。
産まれた時から許嫁が決まっていたりしていますからね。」
「でも・・・私はきちんとした王族の者ではありません・・・。」
「そんなに自分を卑下することはないですよ。
あなたの母君は、本来ならば我が国へ嫁ぐはずだったんですよ。
でも運命がくるってしまった。
大人しく彼女が我が国へ嫁いでいれば、
あの小さな王国は滅びることがなかったでしょうに・・・。
あなたの母君は大罪を犯したのですよ、ティアラ。
私たちのような身分の者が、ほんの些細な事でも誤った行動をとると
命取りになってしまうのです。」
「・・・そっ、そんなこと私に言われても・・・。」
「誰もあなたを責めてはいませんよ。しかし、あなたのわたくしに対する態度で、
これからあなたの叔母君とその国がどうなるか・・・しっかり考えておくことですね。」
王子の俺に逆らうな!と釘を刺されて、ティアラは何も言えなくなってしまった。
本当に国王と王妃は自分を助けてくれるのだろうか・・・彼女の心は不安で一杯だった。