屈辱-4
―――彼女が目覚めたのは日が沈んだ頃だった。
部屋は、数十個ある燭台に蝋燭がゆらゆらと灯っていた。
今、何時ころなんだろう・・・?
ティアラがそう思ってムクっとベッドから上半身を起こすと、
王子が椅子に腰かけながらこちらを見ていた。
「お目覚めですか?ティアラ。」
彼女は王子の姿を確認すると、ビクッと身構えてしまった。
「そう緊張なさらないで。さすがにわたくしも今日は疲れてしまっているのでね。
父上と兄上、そして母上には明日あなたを紹介することにしました。」
「・・・そう、ですか。」
「食事を召し上がりますか?あなた、ほとんど移動中何も口にしていないでしょう。」
「食欲、ありません。」
「パンとワインだけでも食べなさい。倒れてしまいますよ。」
「倒れたっていいんです!・・・お願いします、私を帰してください!!!」
「そんなにわたくしの事が嫌ですか?」
突然、いつも自信満々な王子が寂しそうな目で見つめられると
はい。嫌いですなんて、正直に言えなくなってしまう。