隣国への旅立ち-7
豪勢に装飾された馬車が走る。
馬車に揺られながら、ドミニク王子は上機嫌だった。
たいてい彼のシナリオ通りに事が運び、
彼の望むものは全て、彼の手に入れて生きてきたようだ。
上質なソファーの上に、ティアラと王子は並んで座っていた。
「我が王国へは3日ほどで着きます。それまで、二人の時間を楽しみましょうか?」
そう言って王子はティアラの太腿に手を置いてきた。
王子に対して嫌悪感一杯のティアラは、王子から少しでも離れようと横を向いた。
自分が黙ってこの人について行くのだから、
少しくらい強気でいたって大丈夫だろう!とティアラは思って
睨み付けながら言う。
「やだっ、触らないでよ!」
「―――ティアラ、言葉遣いが悪いですよ。
きちんとした言葉で話さないといけませんね。」
「あなたが王子だろうと誰であろうと、嫌なものは嫌なの!!」
ティアラは精いっぱい王子から離れようとするが、所詮馬車の中では無理な事だった。
「―――そうですか、では我が国に着くまで、あなたを調教しないといけませんね。
わたくしの父上の前で、そのような言葉遣いはやめてくださいね。」
王子はゆっくりした口調でそう言うと、
ティアラの顎をつかみ自分の方に顔を向けさせる。
そして突然彼はどこからか素早くナイフを取り出し、ティアラの胸元にあてがう。