変容-6
−−−数ヶ月前−−−
「ケツの穴も使え!グズグズすんな!!」
拉致られて、全裸で壁に×字固定されている男は、同じく裸で四つ這いになり口と性器を犯されている妻…望に3人同時に相手をするよう要求した。
怒気を隠そうともしないその言葉は、涙を流しながら必死で見ず知らずの男のチンポをくわえる望の心に氷の剣として突き刺さった。
2人を誘拐した黒覆面の男が出した条件は…望が5人の仮面を付けた男を相手に1人2回ずつ、計10回射精させれば夫を解放し、夫が5分毎に1本、計30本の刺鍼に耐えれば望を解放すると言うものだった。
そして現在はカウント開始から1時間以上が経過し、夫の両手の指全てと右足の指…小指、薬指、中指には10p超の鉄針が刺さっている。
日本の鍼より遙かに太いそれは、中国鍼と呼ばれるもので、通常の使用法でさえ相当な痛みを引き起こすのだが、感覚神経が集中した指先、特に爪下に刺そうものなら、気が狂わんばかりの激烈な痛みをもたらすものだった。
開始直後は「俺が耐えるから妻には一切手を出すな!」と言っていた夫だが、5本目の時に、夫のあまりの痛々しさに望が自ら進んで仮面の男の陰茎をしごきだした時には、一切その行為を止めなかった。
それから更に3本の鍼が刺され、夫はとうとう望に声をかけた。
『必ず助けに来る』
それは自分を解放させろと言う言葉…。
望は夫を責めなかった。
その後、夫が望にかける言葉は次第にきついものになっていった。
『悪い、望、もう少しだけ早くできないか?』
『そのやり方じゃいつまで経っても終わらない』
望は見ず知らずの男のチンポを口にくわえた。
『俺は気にしないから、もっと効率のいい方法でやってくれ』
『もうすぐ生理だろ』
望は仮面男に跨がり、自らの手で膣口に陰茎を招き入れた。
『大丈夫。お前ならできる』
『ありがとう。あと9回だな』
『1人ずつ相手にしてたら終わらないぞ』
『俺がいいって言ってるんだから、もっと全力でやれよ』
望は腰を振りながら口を開け、陰茎をくわえた。
『俺がどんだけ辛いか分かるか?』
『もっと真剣にやれよ!』
『俺が死んでもいいのか?』
『ケツの穴も使え!グズグズすんな!!』
望は菊穴に男を受け入れた。
『どうせ子供はできないだろ!もっと激しくケツを振れよ!!』
望の心は砕けた。
最終的に望は口、性器、アナルの全てを使い、5人全員を2回ずつ射精に導いた。終了を告げる10回目のザーメンが口に出された時、夫の身体には23本の鍼が刺さっていた。
約束通り夫は解放されたが、部屋を出て行く時に一瞬だけ望に向けられた視線は、まるで汚物を見るかのような冷たいものだった。
望はその後一ヶ月間、何十人もの仮面の男に昼夜を問わず、穴という穴を犯され続けたが、望の予想通り、夫が助けに来る事はなかった。
独占欲が強く、処女信仰の狂信者である夫が、仕方ないとはいえ、自分以外の男に犯された女を妻として認める事などできるはずがなく、助けに来るなど有り得ないと分かっていた。
今にして思うと、夫は自分のあまりに小さい陰茎に強いコンプレックスを抱いていたのではないだろうか。だから女子校出身で過去に男と付き合った事が無く、他の男とのセックスと比較する事ができない処女である望を妻にした。だが、今の自分はもう他人の手垢が付いた中古品で、夫にとっては無価値な存在に成り果てた。
“私はもう彼に受け入れられる事はないだろう”
そう感じた時、子供がいなかった望の心が夫から完全に離れるのに、時間はかからなかった。
拠るべきものが無くなり、抜け殻になった望を仮面の男達はおもちゃのように扱ったが、そんな地獄の日々に終止符を打ってくれたのは、黒覆面の男だった。
食事や排泄の世話をするだけで、ただの一度も望を抱かなかった男は、ある夜、密かに望を逃がしてくれた。
望を拉致した「仮面の組織」から逃れる為に、男の用意した家からは出ないように指示され、望は素直に従った。姉を失い気落ちしている両親の事が気になったが、連絡すれば彼らにも危害が及ぶと諭された。
隠遁生活を営む中で、望は次第に男に惹かれていった。
ある日、男は望に手を出さない理由を教えてくれた。「自分は異常性欲者だからだ」と。
仮面の組織の一員として働く内に、量的な異常だけでなく、質的にも異常になってしまった。だから、お前を抱くときっと壊してしまう。それが恐ろしい…そう男は語った。
望は答えた。
「私は…大丈夫だよ。」
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