取引-9
「何かあった?ラウルの事?」
ティアラは首を振って俯く。
「ごめんなさい。お母さんからもらったペンダント、なくしちゃったの・・・。」
「ペンダント・・・?象牙のペンダントのこと?」
「そうなの。」
「どこでなくしたの?覚えてないの?」
「―――それが。あの隣国の王子が拾ってくれたんだけど・・・。」
ティエラはホッと胸を撫で下ろした。
娘にあげたものでも、自分の大切なものをなくされるとショックだったようだ。
「そうなの?それなら返してもらえばいいじゃない。」
「うん・・・。返してもらおうと思ったんだけど、意地悪されて・・・。」
「意地悪?まぁ、あの王子そんなに子供じみた事するの?」
「いう事聞かないと、返さないって。どうしたらいい?」
「―――お母さんに任せなさい!明日、あの王子の所に行ってくるわ。」