取引-2
ラウルとの二人だけの時間は瞬く間に過ぎ去ってしまい、
客人が王宮から去る時に彼も城下町にある、彼の家へと帰らなくてはならなかった。
一緒の家に帰れることを夢見ながら、
ティアラは自室へと戻り風呂に入っていた時だった。
ふと気がつくと、何かが足りないことに気がつく。
いつも胸元にかけていた、象牙彫のペガサスのペンダントが
どこにも見当たらなかったのだ。
舞踏会の会場で隣国の王子とペンダントの話をしたのだから、
落としたとしたら庭園しかないと、
ランプを片手にラウルと繋がった場所あたりにしゃがみこんで、
草むらを手で探る。