取引-16
ティアラは行きたくなかったが、
王子に誘われて断ると後で何を言われるのかが怖くて、ついて行くしかなかった。
二人はゆっくりと並んで歩き出した。
「昨日は突然、不埒なことを言って失礼しました。」
「え?」
「ここの王国のワインは美味ですね。つい飲みすぎてしまったようです。」
「そうですか・・・。」
「それにしても、今日もお美しいですね。」
「そんなことありません。王子様の国の方が美女はたくさんいると思います。」
「いえいえ、あなたに敵う美貌を持つ者はいませんよ。」
「・・・・・。」
「わたくしは明日、国に帰ります。」
王子がそう言うと、ティアラの心は踊った。
今日耐えれば、この王子は帰ってくれる!
しかし王子はティアラを絶望させることを告げた。