取引-14
ティエラは居てもたってもいられなくなって、
王子にろくに挨拶をせずに、彼女の姉の元へ駆け出した。
すると彼女も妹を探している所だったようで、廊下でばったりと出くわす。
お互いに顔が青ざめている。
「ティエラ!よかった、あなたを探していたのよ。」
「お姉さま、私もです!!」
「・・・その様子だと、もう聞いたのかしらティアラの事。」
「ええ、たった今ドミニク王子から・・・。」
「王も困っていらっしゃるのよ。隣国への花嫁候補は考えていたのだけれど・・・、
王子はティアラではないと、この国から花嫁はいらないと言われしまって・・・。」
「どうしましょう・・・。ティアラは絶対拒むと思うわ。
ラウルも黙ってはいなさそうだし。
ああ、こんな事ならティアラを舞踏会の会場に連れて行かなければよかったわ・・・。」
「そうね、本当は王子はティアラの噂を聞きつけて舞踏会を開いて欲しいなんて
言ってきたのをなんとなく気がついていたの。
でも結婚したいとまで言うなんて、そこまで考えてもいなかったわ。
私たちがもっと気を付けていれば良かったのに・・・。」
「お姉さま、とりあえずティアラにはまだ内緒にしておきませんか?」
「そうね、私もできる限り手を尽くすわ。
・・・隣国の王もすぐ認めるはずはないと思うのよ・・・。
王子は結婚相手は自分が決めていいことになっているなんて言っていたけど。」