First Love-2
雨音と氷の音。
急にノスタルジックな気持ちにとらわれ、わたしは考えるよりも先に彼の手に手を重ねてしまいました。
「あっ──」
そう言ったのは、彼か、わたしか。ふたりの視線が絡み合い、一本の線になりました。
彼が身を乗り出して、優しくキスを落としました。身体が小さく震え、胸の奥に何か熱いものが流れ込むのを感じました。
「俺……詠歌のこと、ほんとうにほんとうに大好きだから、傷付けるようなことはしたくない。でも、やっぱりこうしていると──もっとキスしたくなるし、もっと詠歌に触れたいって思ってしまう」
熱っぽい瞳。息苦しさを感じるほどの愛しさに、わたしは思わず目蓋をおろし、彼の手をきゅっと握ってしまいました。
刹那、彼がわたしに噛み付くようなキスのシャワーを浴びせました。わたしを食べてしまうのではないかというような、激しいキス。
彼がわたしの唇を割り、舌が絡まり合いました。
「我慢……できない」
彼が立ち上がってわたしのほうへまわると、わたしを驚くほど軽々と抱き上げてベッドのほうへと向かいました。
「晴也、わたし──」
「初めて……だよね? 詠歌の“初めて”俺にちょうだい」
背中が着地しました。
そして、わたしの目をまっすぐに見て彼が静かな声で言いました。
「ほんとうはずっとこうしたいって思ってた……でも、詠歌のことを傷つけたくないから我慢してた。でも今日は我慢できそうにない。俺のこと、怖がらないで。詠歌をもっと知りたいんだ。抱き合って、いつもよりもっとたくさん『大好きだ』って伝えたい」
真剣な表情。
一時の気持ちだけで言っているのではないということがしんしんと伝わってきます。
わたしは小さく頷き、彼に委ねることを決めました。
「ありがとう。嬉しいよ……」
彼がわたしの首筋に優しくキスをしました。甘い吐息が零れ落ちます。
緊張する身体を彼が優しくほぐし、愛のしるしをつけていきました。
腰のあたりがゾクゾクとし、今まで感じたことのない気持ちが身体の中に流れ込んできました。
「んっ……」
彼の手がたわわに実った果実を撫でるように動きます。傷をつけないように、ゆっくりと慎重に。
その指が胸の頂きに触れたとき、わたしは思わず短く声をあげてしまいました。
「詠歌……可愛い……」
頬がカッと熱くなり、息が乱れます。
まるで自分以外の誰かのもののように響く声。不思議な気持ちになりましたが、わたしを抱き寄せる彼の力強い腕に安心感を覚え、自分自身を少しずつ解放していくことができました。