短い再会-1
ティアラは愛しい彼を目指して、人ごみをかき分けて駆ける。
城内では走ってはいけないと言われているので、
しばらく走っていないティアラの息はすぐあがってしまう。
必死にティアラは走るが、彼女の存在に気がついていないラウルは、
広間から背を向けスタスタと歩き出してしまった。
(どうしよう、追いつかない! 行かないで!!)
そう思った時、花火がドンっという爆音とともに打ちあがった。
夜空に大輪の花が咲く。
廊下の柱の隙間から、花火が目に入る。
するとラウルも足を止め、それを見入っていた。
皆が花火に夢中になっている間に、ティアラは夢中でラウルの背中を追いかける。
ティアラは彼の名を叫んだ。
しかし、花火の音と人々の歓声でラウルには届かない。
再びラウルが歩き出してしまい、人ごみの外へと出てしまった。
ティアラもなんとか廊下を走り抜けると小さな庭へと出たが、
すでに彼の姿は見当たらなかった。