短い再会-3
彼が階段を昇り終わるなり、ティアラは彼に抱き付いた。
「ラウル!会いたかった!!!」
「―――ティアラ・・・俺に怪我させる気か?」
「ラウルなら避けるって思ってたから。」
ラウルはため息をつきながらティアラに言う。
「これ、高いんじゃねぇの?全部本物の宝石だろ?」
彼の手には壊れた髪飾りがあった。
宝石は割れてはいないようだった。
「うん・・・たぶん。でも、こんなものよりラウルに気がついて欲しかったから。」
「だからって投げんなよ。」
「だって、走って何度も叫んだんだよ!でもラウルちっとも気がついてくれないし。」
「―――まさかお前と話せるなんて思ってなかったからな。」
「どうしてラウルが舞踏会に来れたの?」
「ああ・・・色々あってな、貴族の奴が無理やり俺を連れてきた。」
「貴族?一緒の人はどこ?」
「見失った。あんなに人がいちゃあ、はぐれちまう。」
小さな庭園内に人は誰もいなかった。
皆、舞踏会の会場とそこに続く廊下にいるようだった。
ティアラは久しぶりに会えたラウルと離れたくなかった。
「ラウル、もう帰っちゃうの・・・?」
「あ?あぁ、俺には場違いだからな。」
「・・・帰らないで。」