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憂鬱なお姫様
【その他 官能小説】

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舞踏会-6

(もう脚がクタクタだよ・・・)


母親によるスパルタレッスンを終えたティアラは自室のベッドになだれ込む。

早く舞踏会なんて終わってしまえばいいのに・・・。

彼女は急に来訪することになった隣国の王子に怒りさえ覚えていた。


いくら頑張っても基本のステップさえ上手くこなせない自分にも腹が立つ。

それより、自分は狩人の妻になるんだし、

別にダンスなんて踊れなくたっていいじゃないか。


苛立つ気持ちをなんとか押さえて、彼女はバルコニーに向かった。

彼女の想い人も見上げているだろう、同じ星空を見るために。

ティアラが愛してやまない彼の名前は、ラウルと言う。


歳はティアラと同じ17歳。

彼らは同じ村で産まれ、育った。

しかし不幸なことに彼らが8歳の頃、ラウルは森で行方不明になってしまった。

彼の記憶が戻ったのはここ最近の事。

彼が記憶を失っている間、盗賊として生活していたので彼の性格、

目つきはすっかり変わってしまった。


幼いころの彼は屈託のない笑顔をティアラに向けていたが、

今の彼は無表情で、何を考えているのかわからない。

時折ティアラに見せる何気ない微笑みが、彼女にとっての唯一の救いだ。


ラウルがティアラに囁いた、“愛している”と言う言葉と“嫁にもらいたい”

と言う言葉を胸に秘めて、慣れない王宮暮らしを、彼女は過ごしているのだった。


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