舞踏会-3
ぷうっと口を膨らませて愛らしく怒る少女の名前は、ティアラ。
美しく華やかなドレスに負けず劣らずの風貌の彼女は、
数か月前から訳がありこの宮殿に移り住むことになったのだ。
ここに来る前は小さな田舎の村に住んでいて、
自分が今は滅んでしまった王族の血をひく者だとは今でも実感できないでいる。
一般庶民もとい農民だった彼女に、舞踏会に参加するという事などありえなかった。
ダンスなどもってのほかだった。
ティアラの母親(―名はティエラ)は、
とりあえず形になるだけでもダンスを踊れるようにして欲しいと、
彼女の姉である妃に言われ、ティアラに猛特訓しているのだった。