舞踏会-15
王子に見つめられてティアラは目を逸らせなくなる。
これはもう一曲踊ってほしいという事なのだろうか・・・?
でもさすがに、またあの緊張を味わいたくない。
このままダンスを踊ることが出来たという事にして、早く帰りたい。
とティアラがなんとか王子からの視線をかわした時、
人ごみの中彼女は一人の男に目を奪われる。
遠く離れていても彼女にはわかった。
ティアラが会いたくて恋焦がれていたラウルが、会場の入口付近に立っているのだ。
見失ってしまわないよう、ティアラは急いで王子に別れを告げることにした。
「あ、あの!踊ってくださってありがとうございました!!
私、ちょっと用事を思い出してしまったので、これで失礼します!!!」
ティアラは早口で王子にお礼をのべると、一目散に駆けだした。
王子は彼女の手を掴まえようと手を伸ばすが間に合わず、
彼はやり場のない手を見つめた。
しかしすぐに彼は手を握りしめ、不敵な笑みを浮かべて
ティアラが去って行った方を見つめた。