舞踏会-13
バルコニーには他に人はいなかった。
皆は始まったばかりの会場の中で、ダンスを楽しんでいるようだった。
ティアラはダンスの練習ばかりで、
この王子がどんな国の出身であるかを聞くのを忘れていたため、
彼との会話が続かない。緊張感で血の気が引く気分だった。
(王子となんて何を話せばいいの・・・?
二人っきりなんてもう無理だよ!しかもこの人の名前忘れちゃったし・・・。)
ティアラがそう考え込んでいると、
王子は彼女のたわわな胸元を見ながら話しかけてきた。
「そのペンダント、素敵ですね。」
「え?」
「象牙で出来た、ペガサスでしょうか・・・?」
「あ、はい。元々は母がお祖父さんから頂いたものだそうです。」
「良く出来ていますね。」
王子はそう言うと、ティアラに近寄って彼女の胸元の象牙に触れた。
一瞬、ティアラの大きなふくらみの間に指が入り込んで、
彼女はピクッと反応してしまう。
(やだっ!この人、今胸触った!
何?!偶然なの・・・?それともわざと・・・?)
「見事な彫刻だ・・・。」
王子はそう言いながら、顔を近づけてペガサスに見入っているように
見せかけているが、彼のいやらしい目線はその先のティアラの乳房だった。
「あっ・・あの!!」
王子の顔が自分の胸元にあるのがたまらなくなったティアラは、
なんとかして離れてもらえるように、声を張り上げる。
「おっと、これは失礼。あまりにも見事なものだったので・・・。」
王子はニヤッと何かを企んだように妖しくティアラに向かって微笑む。
「おや、もうすぐこの曲は終わりますね。会場に戻りましょうか。」