舞踏会-12
手を差し出されてティアラは固まってしまった。
自分は踊れない上に、その相手がさっき会ったばかりの隣国の王子だったからだ。
「ごっ・・・ごめんなさい!大変申し訳ないんですけど、私、踊れないんです。」
「ふふっ、そんなご謙遜なさらないでください。」
「本当です!足手まといになってしまうだけですから・・・。」
焦って断るティアラに、王子はひるまない。
「大丈夫ですよ、わたくしがリードいたしますから。」
「そんな・・・ご迷惑になってしまいます!」
「それでは、ゆっくりしたテンポの曲で踊りましょう。
それまで、わたくしとお話しませんか?」
王子はそう言うと、ティアラの手をとってバルコニーへと連れ出した。
ティアラは断れず、彼について行くしかなかった。
なんで私の所に来たの?!この人!と焦る気持ちを隠して、
王子に失礼な振る舞いをしないようにティアラは対応する。
「おっと、失礼。あなたの名前をお聞きするのを忘れてしまっていました。」
「ティアラと申します。」
「素敵な名前ですね。あなたの麗しいお姿にぴったりの名前ですね。」
「・・・ありがとうございます。」