関係-1
タクミ君は きっと
見抜いてた
でも
タクミ君の 気持ち
その時だけの
ものかもしれないけど
昨日も
嬉しかったな
「 ん、、。
ちゃんと聞くよ。」
「、 、、隆史。」
ちづるは、真っ直ぐ隆史を見た。
隆史はほんの少し驚く。
隆史から見てちづるは、
自分を主張しない事が多かった。
そんなちづるが、真っ直ぐに
自分の気持ちを言うのを
隆史は初めて見た。
「私は ね 、 、」
***
同日。
タクミは学校帰りに友達2人と、
駅の近くに新しく出来た
ラーメン屋に居た。
ラーメンを食べて、
少しお喋りをしてから店を出る。
店を出ると3人は、
駅ビルの中にある
本屋に行こうという事になり、
歩いていた。
JR線の駅の改札前を
通過しようとしたその時。
タクミは人混みの中、
ちづるを見つけた。
黒いコートを着てポニーテールの
髪型のちづるは、
誰かとお喋りをしながら歩いている。
「、ぁ、 、」
あ、。
ちづちゃん
仕事帰りかな
え ?
あれ は
ちづるの隣に、見覚えのある
背の低いスーツ姿の男がいる。
ちづるの旦那だと気がつくのに
数秒かかった。
2人は並んで歩いている。
タクミには気がついていない。
しばらく2人の後ろ姿を見つめていると、
男は改札機を通り、
駅の中に入っていった。
1度、男はちづるの方を見ると、
右手を挙げる。
ちづるはそれに対し、バイバイと
手を振っていた。
男を見送ると、ちづるはタクミには
気がつかないまま、歩き出す。
小さな、ちづるの後ろ姿。
タクミはしばらくぼんやりと、
その姿を見つめていた。
それから3人で駅ビルの本屋に行った。
そのあと解散して家に帰った。
家に帰るとベッドに座り
テレビをつける。
「、 、 、 、、。」
ぼんやりとテレビを眺めながら、
昨日のちづるの事を思い出していた。