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「あなたに毒林檎」
【SM 官能小説】

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「あなたに毒林檎」-3

こんなことは一生に何回か子供を生めば経験するんだろうけど?
子供も生む事を鼻の穴からスイカを出すと例える妊婦さんが多いのは知っているが、
私はまだセックスでどじったことはないし、まだまだ鼻からスイカを出す心の準備もしてないのだ……。

 だが、それはそこに多少揺れながら鎮座ましまししている。

 洋式トイレのくぼみの中にちゃぷちゃぷ揺れている……。
その外見は恐ろしく真っ赤で姿かたちは左右均等、本体のてっぺんからはもちろんへたも数センチ伸びている。
 艶はスーパーで見かけるようなワックスかけまくりみたいな光り方をしていてなにより便器の中の水とトイレの灯りで奇妙にヌラヌラとした反射を見せ、私の頭をますます混乱に落とし込んでいた……。

 どこをどう見ても林檎だった。
朝起きてトイレに入りお花摘み+うん君を終えると”私は林檎を産み落としていた”。

 叫び声にもならないキーンとした私の思いは脳天を貫き身体の細部に指示を与え手足の感覚を鈍らせ子宮を突き抜け股の切れ目から床に突き刺さった……ドスン!。

 私は夢を見ていた。
私は意地悪女王になっていて憎き白雪姫を毒殺しようともくろみ、畑から取ってこさせた林檎に一つずつ、フグから取った猛毒を注射器で入れ込んでいる。そして、あたりを見まわし割りすぎて最後の一枚となった豪華な装飾の鏡に、舌なめずりをし口角を上げれるだけ上げにやりと微笑んで見せている。

「いまいましい白雪姫め……」

 だがなにやら額が痛い……づきづきする。鏡の中の顔は苦痛に歪みそのうちクルクル回りだし小さくなって闇に溶けていった……。


 要は失神したのだ……トイレの中で……。
狭いトイレの壁で額をいやって言うほど擦っていて血が滲んでずきずきしたが、悪い夢はまだ便座の中に居て、再び失神しそうになったが、ひ弱な身体に力を込めいつかみたいにまたしっかりと歩き出した。

 その大きさでは排水溝を流れない事は目に見えているのでなんとかしなければと思い、リビングに戻り額の傷をマキロンで消毒し、救急セットの中からバンドエイドの大きなタイプのものを探したが傷に合わずむきかけのバンドエイドはそのまま指に絡まり、重い足にはトイレ用のスリッパが左足にだけ履かれていて、頭を抱え、這いつくばるように林檎を掴み取る物を探しに今度は台所へ向かった。

「何かで刺して引き上げる?」
それは出来ない、万が一ガスや液体が噴出してとんでもないことにならないとも限らない。

「氷掴みも駄目だな……」

「割り箸は小さすぎるし……」

「スッポンは? 駄目だ押し込んでしまう可能性もある……」

「あ、そうだ……ゴム手袋!」

「あーーーいけない、こないだ、捨てたんだった!!! 新しいの買って来ようと思ってたんだ…… 忘れてるし、最悪……」

「ええーーー!!! 手づかみ……」
一筋の涙と一緒に溜息がこぼれた。鼻水も垂れてきた……もうぐちゃぐちゃだった……

 このまま疲れた身体を休め泣き崩れてやろうかと思ったが、トイレにあれを放置してる方が絶対に危険だと本能で察知していたので……、というか日常生活に支障の出る場所なのでなんとかせねばって思っていただけ……しかし、そのあとはどうする?
当然捨てに行くのだろうけど生ごみで出す? それとも、近くの公園にこっそり捨てに行く? それとも、遠出して隣町にある山のまで出かけるか?

 あーーもうままよ、考えすぎると考えがまとまらずえいやっと行動してしまう私はトイレの意味不明な敵に向かい素手を伸ばし掴んでいた……。

 ジャブッン! ポトポトポト……ポチャン、ピチョン……
林檎から垂れる雫の音だけが響いた……。

 ただの林檎だった。
ほんとになんも変わらないただの林檎、食べれそう……。

「ゲゲゲ!!! 食べる? 駄目……それは絶対駄目……」

 私はボケと突っ込みをセルフで行い油汗もポトポト垂らしながら差し出した手の先にあるそれを眺めていた。
 産んでしまったものは仕方が無かった。
汚い話になってしまうが、排便中にいわゆる苦痛のような異物をひねり出す感覚は無かったのだ。つまりは普通のウン君をいつもの通り、便秘などとも縁遠い私なので普通にすっきり排泄したはずだった……。今日までは?

 まさか彼が悪戯に放り込んで行ったことも考えられたが彼氏は以前金魚を便器に放り込むと言う悪さで私にこってりお仕置きをされているのでまさか、ここまでおかしなことはしないだろうと考えた。友達だろうか?でも、昨日も今日も誰も来てない……。

 やはり自分が生んでしまったのだろう……か?!
そう思うと途端に落胆し物凄く悲しくなってきて、今度は思いっきり泣いてしまった……。

「えーん、えーん、私は林檎を生む女。これがばれたら見世物小屋か国家の秘密機関に拉致られ一生研究材料とか見世物女として飼われてしまうのかしら…」
「ビェ〜〜〜〜〜ン…… ビェ〜〜〜〜〜ン……うえぇぇぇ〜〜〜〜ん ……」


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