Runa:「虚心坦壊(懐)」-17
「そっか…。良かった。」
勇樹はティッシュを何枚も重ねて、私の体の淫れた部分を拭き取ってくれた。
「瑠奈の初めて奪った気分だよ。」
「ふふっ…。なにそれ。でも…私もかなり興奮した、かな。」
服も着ないまま、私たちは抱き合って、他愛のない話をする。
自分の体を見ると、所々にまるで虫に刺されたみたいな痕が残っていた。
腕や、胸、鎖骨、太もも。
勇樹の剥きだしの性欲の痕が私の体にまた刻まれている。
私はそのキスマークの数を心の中で1、2、3と数えていく。
「何ニヤニヤしてるの?」
ベッドで隣に寝ていた勇樹が私の顔を覗き込む。
「別に〜。なんでもないよ。」
そっか、私今ニヤニヤしてたんだ。
勇樹の家から帰った後も、何度もこのたくさん付けられた痕を見て、一人でしちゃうんだろうなぁ。
この痕が、ずっと消えないでいてくれればいいのに。
消えても、また付けてもらえばいい。
少し前ならそう思っていたけど…もう今年も終わりが近づいていた。
それは、私達の関係がどんどん終焉に近づいていることを意味していた。
そして、やはり…。
私が危惧した私達のこの都合のいい関係の終焉を迎える日は、すぐにやってくるのだった。
「虚心坦壊(懐)」終わり