待ち合わせ-6
ジャンケンで、
ちづるはチョキを、
タクミはグーを出した。
タクミは喜ぶ。
ちづるはガックリとうなだれる。
「やったーー!!」
「、っ、 、、 っ 」
「じゃー、、はいっ!」
タクミは手を差し出す。
ちづるが言う。
「待って、ぁの、、! 」
「なぁーにー?」
「繋ぐの、5階に、
行ってからでいい?」
「ぇーーー??」
「お願いっ!!
ほら、私、、前の職場がここの
2階で、、。 知り合いに
会うかもしれないから、、。
今から出社する子、いると思うし、
ぁ、ほら!
知可子に会ったら
言い訳出来ないし、、! 」
「ぇーー、、
勝ったのにーー。
、、まぁ、確かに
健の姉ちゃんには
言い訳出来ないか、、。」
「ね!? そうでしょ!?」
「 っ んーー、、、
分かったよ。
その代わり、5階で繋ぐからね!?」
「うんっ! うん! 」
「じゃ、とりあえず行きますかー。」
「うん!」
ちづるはホッとして、
2人は歩き出そうとする。
その時。
遠くから女の声がした。
「タクミーー!?」
ちづるは驚いて、声のする方を見る。
タクミはピタリと止まり
一点を見つめる。
その後ピクリと眉間に皺がよる。
声の主を想像し、悪寒が走る。
人混みの中、
10メートルほど離れた所から、
声の主がこちらにやって来た。
化粧の濃い、背の高い女だった。
その女は早歩きでタクミの元へ近づく。
近づきながら、タクミに話す。
「あー、やっぱタクミじゃん!
アンタ、朝から何してんのー?」
タクミはその女を、
1度も見ようとしない。
嫌そうな顔をして遠くを見つめ、
ため息をつく。
ちづるは驚きながら、
その女を眺める。
? 誰 だろう
背、高いなぁ
タクミ君と同じぐらいあるかも
なんか 凄い
派手、 、
光沢のある真っ赤なバッグと
ハイヒール。
ベージュのコートに装飾
されているファーがやたらと大きい。
そして、
なによりも目立っているのが髪型だ。
明らかに美容院でセットした
その髪型は、
金髪に近いブラウンで、
キャバ嬢風の盛り髪だ。
タクミと同じ位の背丈があるから、
余計に目立つ。
その女は
タクミに向かい喋り続けている。
「アタシね、ふふっ
今からデートなのー!
銀座まで行くんだけどーー、
美容院は
こっちでやってもらいたくてぇー。
アンタは、、、」
その女はちづるを見た。
ちづるは思わず会釈をする。
ちづるの事を、
頭のてっぺんから足の先まで
眺めるとニヤニヤして言う。
「アンタもデート?」
「、 、 、、。」
タクミはずっと黙っている。
ちづるがタクミに替わり思わず
言い訳をする。
「や、 あの、違うんです、!
今から、、その、
皆と会うんで、、、」
「ぇー?
なんだぁーー
こんな美人な人とデートするなんて
、やるじゃん!って思ったのにー!」
その女はアハハと笑う。
ちづるは、タクミを見る。
この人物が誰なのか教えてほしいが、
タクミは駅ビルの方を
眺め黙ったままだった。
ちづるがタクミに言う。
「タクミくん、? 、 、」
「相手しなくていいから。
早く行こ。 」
「 ぇ?」
それを聞いた女がちづるに言う。
「アンタなに照れてんのよー。
あ、アタシ、タクミの母ですーー。」
「、、 、 ぇ え!? 」
!! ? え っ !?
タクミ君の
お母さん! ! ?
嘘 っ ! !
なん か
っ 若い !
ちづるは驚き、
タクミの母を見ながら固まった。