美しい親子愛!! セーガン博士の特攻作戦!!-1
ズババババ―――――ン!!!
太平洋から突如持ち上がる巨大な水柱。
ガングリオンの活躍で被害は最小限度に抑えられたとはいえ、これから周辺各国には多量の放射能を含んだ津波が押し寄せることだろう。
セーガン博士「コリン!! コリン!! 何処だ―――ッ?!」
宇宙船『ゼルヴェンジャー』で現場に駆け付けたセーガン博士は叫んだ。
オペレーター「博士、センサーがガングリオンを発見しました!!」
指令室のモニターは水柱と共に浮上してくるガングリオンの機影を捉えた。
ザバアアアア……ッ!!!
オペレーター「海底爆発の衝撃で大破しています!! しかし生命反応あり!! パイロットは無事です!!」
セーガン博士「よかった!! すぐに機体を回収しろ!! 救急班は格納庫で待機――ッ!!」
ゼルヴェンジャーの機体下部にあるハッチが開き、数本のメカアームが伸びる。
こうしてようやくガングリオンは回収され、格納庫へと引き上げられた。
爆発による被害を避けるため、ゼルヴェンジャーは急いで現場を離れてゆく。
ドドドドド…!!
セーガン博士「コリン!! 大丈夫か――っ?! はっ!!」
格納庫に駆け付けたセーガン博士。
コクピットの中で血まみれになって倒れているコリンの姿を見て顔面蒼白となった。
セーガン博士「何てことだ!! 急いでコリンを医療用カプセルに運ぶんだ!! 積んであるメスなど二の次だ!!」
医療スタッフ「1、2、3、行くぞっ!!」
ストレッチャーに乗せられ、スタッフに運ばれてゆくコリン。
それを見つめるセーガン博士の悲痛な叫びが格納庫に響いた。
セーガン博士「コリンよ、死なんでくれ――!! …お前は私の生きがいなのだ―――!!!」
ブリッジ「♪ジャジャン、ジャンジャジャジャジャン!」
一方、衛星軌道上に浮かぶ戦闘要塞『バルビツール』では…。
ステッドラー「私の大事な地球を傷つけおって!! さらに海底要塞『スキゾフレニア』までも…!! ええい、ライヌマーめ…研究しか能のない性格破綻者よ!!」
バシン! バシン!
怒りに震えるステッドラーは銀色のステッキを振り回し、そこら中のものをめった打ちにしている。
ボチボチ・デンナー「総統!! お怒りをお鎮め下さい!! どうか落ち着いて下さいませ!!」
ステッドラー「これが落ち着いてなどいられるか――っ!!」
モーカリマッカー「では、スキゾフレニアの大爆発に巻き込まれて大破したガングリオンとゼルヴェンジャーを攻撃してもよろしいですな?」
ステッドラー「それはダメだ。却下する(キッパリ)。次回の攻撃は6日後の日曜日にせよ!」
モーカリマッカー「…しかし、それでは…」
ステッドラー「うるさい、皆下がるがよい!!」
ステッドラーはそう言い放つと指令室のドアを閉めてしまった。
残されたモーカリマッカーはため息をついて困り果てた。
変態とはいえアクメ・リアクター研究の第一人者であるライヌマーは今は亡い。
女体研究所とアクメロボ製造工場を持つ、地球侵略の前進基地であったスキゾフレニアの消失は痛かった。
今週日曜日の中継に出撃させる新型アクメロボのメドが立たないのだ。
ガングリオンが大破、修理中の現在を狙って母艦ゼルヴェンジャーごとバルビツールの総攻撃で破壊するプランは却下された。
これでは何も打つ手がないではないか?
(まったく、あのお方のワガママにも困ったものよのう。そろそろ限界か…)
モーカリマッカー「こうなっては仕方ない。長年封印されていた『アレ』を使う時が来たようだ」
ボチボチ・デンナー「ま、まさか…アレを?! それはまずい! 総統がどれほどお怒りになるか!!」
モーカリマッカー「今さら何を言う。背に腹は変えられん。総統には後でお許しをいただけば良いことだ。はっはっは…!」
不敵に笑うモーカリマッカーの額のコインがキラリと輝いた。
ブリッジ「♪ジャジャン、ジャンジャジャジャジャン!」
あれから3日。
日本に赴いたセーガン博士は首相官邸で時の総理と何度目かの極秘会談を行っていた。
総理大臣の名は大泉晋二郎(おおいずみ・しんじろう)。
イケメンでパフォーマンスが上手く庶民に絶大な人気を誇り、若干54歳にして総理の座に上り詰めたエリート政治家である。
セーガン博士「総理!! …今、お渡ししたこの設計図を元に日本でも至急アクメ・リアクターを開発し、我々と共にE−1星侵略軍と闘ってステッドラー総統の野望を打ち砕きましょう!!」
大泉総理「…は、はぁ…」
セーガン博士の話を聞き、大泉は半信半疑であった。
女性の子宮から発するアクメを動力源として利用して超エネルギーを発揮するエンジンだと…?! そんなもの信じられるわけがないではないか。
そういえば10年ほど前、女性科学者・坊原貴子(ぼうはら・たかこ)が、女性の性的絶頂をエネルギーに変換するという理論を発表して物議を醸したことがあったのを大泉は思い出していた。