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就活戦隊ZINZI−Z
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就活戦隊ZINZI−Z-1

携帯の液晶を眺める。
いつもの彼の居場所だ。
某掲示板の住人と化した、ケイタの一日の日課は
昼過ぎに起床。
真っ暗な散らかった部屋でお気に入りの安堵の地である掲示板でレスすることであった。
ケイタは22才。
埼玉の某大学の4年生に籍をイチオー置いている。
なぜ一応かって?
なぜなら、彼は大学にも行かず外出もせず、引きこもりとしてダラダラと無為な毎日を過ごしているからだ。
大学4年。
まわりの仲間はもうとっくに企業から内定をもらって、残りわずかな学生生活を満喫している。
ケイタはというと、
内定0どころか、会社訪問すらしたことがない。
先の不安?もちろんあるのだろうけど、探す気力もガッツもなくしてしまったようだ。
原因は3ヵ月前に
同棲していた彼女に二股されたあげく、惨めな振られ方をしてしまった。
「あんたなんて金ヅルだったのよ……!」
最後に浴びせられた一言に今まで積み上げてきた自信は粉々に砕かれてしまった。
人間不振。
ケイタは毎月、5万円という大金をキツいバイトで稼ぎだして食費も削って彼女との交際費に使っていたのだった。
悲しい浪費。
振られてから、バイトも辞めてしまい、
毎日小汚い部屋の中で二次元の人間関係の中に、
ただ心を埋めるように埋もれていた。

親からは隔週で電話が来る。
卒業後のこと、日々の生活、その他もろもろと世話を焼かれるのにもうんざりしていた。

生き甲斐である某掲示板には、“K”というハンドル名で書き込みをしていた。
今日は新しいスレが立ち上がっていた。

「就活戦隊ZINZI−Z」

興味本位でスレに侵入してみた。

「就活で困った君!
就活戦隊を結成しよう!
勝ち組になろう!
     院生ブルー」

ケイタは書き込みしてみた。
K「こんにちわ〜!ヒッキーやってるおれでも入れますか?」

手慣れたものだ。
瞬時に文字を打ち込んでいた。
1分もしないうちに、
ブルー「もちろんOK
我輩はしがない院生ブルーである。
以後よろしく」

レスをしてくにつれてケイタはブルーに親近感を感じるようになっていった。
社会に必要とされないハグレ者。
こんなおれが、勝ち組になれるのか?
半信半疑で文字キーを押す。
ブルー「今日から君はヒッキーレッドと名乗るよろし。
我輩とレッドで夢を掴みとろう!」

この瞬間から、ケイタはヒッキーレッドとして就活の嵐に立ち向かっていくのだった。


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