玩具-2
タクミは家に戻ってから
私服に着替え、
夕方にちづるの家に来た。
紺色のワンピースを着ている
ちづるは少しソワソワしている。
部屋に入ると、
ソワソワしているのを隠すように
言う。
「あ、、コーヒーと紅茶、
どっち飲む?」
「ん、? あー、じゃあ
コーヒー。」
「、、うん。」
「ありがとー。」
「、 、、。」
ちづるは2人分コーヒーを入れた。
ソファーに座っているタクミの前に
コーヒーを置く。
ちづるは、じゅうたんに座った。
ちづるが言う。
「、、大事な話って?」
「うん、、。」
「、 、 、、。」
タクミがコーヒーを飲む。
まず何から言おうか少し考える。
考えているタクミを見て、
ちづるが言う。
「、、言いにくい事?」
「んーーー、、
どーだろーー?」
「、 、 、、。
ぁの、、私、 、」
「 ん?」
「大丈夫、、だから、、」
「? 何が?」
「、っ、、あの、 うん、
ずっと、1人だったし、 、」
「、 、、、」
「1人に、戻っても、、その、、
、 、、 、、 」
「 ぇ? 、、 、」
あ、。
別れ話だと 思ってる ?
タクミは、別れ話じゃない、と
ちづるに伝えようとした。
ちづるはうつむいている。
タクミは声を発しようとした瞬間、
思い出す。
ちづるにレズかも、と告白された時、
タクミは別れ話だと勘違いした時の事。
タクミはちづるに
「考え直して」と言った。
タクミは思う。
別れ話じゃないって
早く言わなきゃ
でも
ちづちゃんも
俺の事 ひき止めて
くれないかな
別れたくないって
言ってほしー、、、
「、 、、 、、、」
って
いや、! いやいや!!
別れる気ないのに
こんな
試す みたいな事
やっちゃ駄目だって 人として
、 、っ、
でも
でもなぁ、、、
ちょっと
反応が見たい かも
少しだけ
タクミは、そんな事を考える。
少しの間、2人は沈黙する。
ちづるは、黙るタクミを見て、
やはりこれは別れ話だと確信する。
ちづるが言う。
「1人でも、 、、本当、大丈夫。
だけど 、っ、
今日は一緒にご飯食べるの
辛いかもー、、 、
ふふっ、、ごめん、 、」
ちづるは無理に笑おうとしたが、
目に涙が浮かんだ。
それを誤魔化すように立ち上がり、
タクミに背を向けて言う。
「ごはん、持って帰る?
タッパーに、、入れようか?」
「、、 、ぁ、!」
やばい
「ちづちゃん! 違うよ。」
タクミは立ち上がり、
ちづるの背中に話しかける。
「、、 ぇ?」
「別れ話じゃ、ないよ。」
「、、っ、 、
無理しなくて、いいよ、、」
「 違うってば!」
「、 、 、、、そう?
じゃあ
良かった、、。」
「ねぇ、こっち向いて?」
「んーー? 後で、、」
ちづるは背をむけたまま
台所に行こうとした。
タクミはそれを遮るように、
ちづるの前に来る。
顔を見るとちづるは、
もう泣いていた。
頬が涙で濡れている。
タクミは思わずちづるを抱きしめる。
タクミが言う。
「ごめんね。勘違いさせて。」
「、、、っ、
、、大丈夫 、、
でも 〜っ
本当に 違うの?」
「うん。」
一瞬でも 俺
ちづちゃんを試した
ごめん
「そっ か、、 ん、、
まだ 一緒に居れるなら
良かった
、、っ、 〜っ、」
「ぇ? 」
まだ ?
「ん、、っ、 う、、ふぅぅっ、!!
んっ、んんっ、 ぅ、、っ 、」
タクミの腕と身体は暖かく、
別れ話ではない事に安心すると
涙がどんどん溢れてくる。
小さい子供のように泣き出してしまった。
タクミは、
背中をさすりながら抱きしめ、
ちづるが落ち着くのを待った。
しばらくすると落ち着いてきて、
抱きしめられたままポツリと言う。
「もう、、大丈夫 、 。
それで、 あの、、、」
「ん?」
「大事な 話って何?」
「ぁーー。
うん、、、
何だと思う?」
「 え?」
「当ててみてよ。」
「え?
、 、 、、ん、 と、」
別れ話じゃないとしたら
なんだろう