愛のメトロノーム-8
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晶さん、待ってて──。
すぐ迎えに行くから──
俺の言うことを訊かないからこう言うことになるんだってこと……
教えてあげる──
思いっきり派手にドン引きさせてあげるから…
それまで花火を楽しんでればいいよ……
まずはデカイ一発目を撃ち放す──
晶さんが俺から目が離せなくなるくらい釘付けにしてあげる。
「呼んだぞ。15分後にここの屋上に着くから」
「わかった」
「社長にも報告するからな」
そう言って控え室の隅で電話を掛ける。
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「なに!?ヘリ五機!?──バカかあいつはっ!?」
「──…」
楠木さんの電話からそんな声が響いていた。
「じゃあキャンセルに?」
「あ!?バカかお前は!?」
「──……」
今度は罵倒が楠木さんに向けられた。
「アイツが金を払うならそれに乗っかれ!」
「……──」
「局のヘリが一機あっただろ!?それを借りて航空事務所にも連絡せにゃならん──」
「──…社長…」
「なんだ?」
「何を企んで……」
「ああ?バカだな、ヘリ五機の金を主役自ら払うって言ってんだ!大々的に利用しなくてどうする!?」
「──…て、ことは…」
「番宣だよ──」
「………」
「──…ゲリラ番宣だ…」
電話口で金の亡者がニヤリと笑みを浮かべていた……