宣-3
「ん」
そう短い返事をした後、私は満足して後ろの直哉に寄り掛かる。
直哉は両手を私のお中で交差して
「やっとケリがついた」
と、頭を私の肩に乗せた。
「お疲れ様」
「俺さ、明日出る辞令で広報に異動になる」
「嘘!」
ゆったりした空気を断ち切るような告白に
勢いよく振り向いた私の周りの水がジャバッと波打った。
「ずっと異動願いを出してて、やっと通った」
ずっと?
そんなの知らなかった。
「今回の広報との共同企画が上手く行ったらって条件出されて」
「うん・・・・」
「この前、企画と広報の両部にOKをもらった。
だから、この共同企画は綺麗に終わりにしたかったんだ」
そうなんだ。
「直哉、企画の仕事で満足してると思った」
「ああ、満足だったんだけど」
そう言って濡れた手で、前髪をかきあげた。
その仕草がやけにかっこよくて。
「もう限界」
「何が?」
「お前の遠距離の彼氏役」
「え?」
「お前が俺のだって公表できないの、もう限界」
そう言って後ろから首筋にキスを重ねた。