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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
【フェチ/マニア 官能小説】

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キャスティング-4


手持ちぶさたからか健兄はカウンターに腰掛けると、天井から何から店の雰囲気を眺めていた。

「注文は決まった?」


「ああ、店のお奨めって何だ?」

「お奨めは和らぎセットで和食と洋食があるよ」

そう言って、ランチメニューとは別の和らぎメニューを見せる。

「ならそれの和食で…」

「了解!」

注文を受けてあたしはメニューを伝票に書き込んだ。

「久し振りですね」

カウンターを仕切るマスターが親しみ浮かべて声を掛けていた。

「この間、来てくれましたよ」

「お?」

マスターはカウンターの向かいの壁に飾った聖夜のサインを指差す。

「へ〜、一人で?…」

「一人で来てあとから楠木さんも来たけど?」


厨房に入ったマスターの代わりにあたしが答えた。

「ああ、楠木とね。聖夜はどうだった?」

「どうって?」

夏希ちゃんが居候してから一度も自宅に帰って来なかった健兄は何かを探るように聞いてくる。

「いや、何もないなら別にいいが…そか、…なんも無かったか…」

「……?」

健兄は何やら語尾を小さく呟いている。

大有りに有ったけど知らせるわけがない──

黙って水を口にした健兄を放置してあたしはホールの仕事を片付けにいった。



昼を過ぎ、店も普段の静けさを取り戻す──

健兄はのんびりしながらマスターと色々話し込んで居るようだ。

客の帰った後のテーブルを拭いて椅子の向きを整えるとカウンターの流しであたしはダスター(台拭き)を洗った。

「美味しいでしょ?それ」

「ああ、あまり甘くないし回りのスポンジが美味い!」

和らぎロールケーキを食べてる健兄にあたしは声を掛けていた。

宣言しながら健兄はポケットに右手を入れるとおもむろに席を立つ。

「他にお客居ないからここでいいですよ」

仕草にピンときたマスターがそう促していた。すまん、と詫びの仕草を見せながら健兄は電話に出る。

「おう橘!もう終わったかっ」

相手方に店の場所を説明しながらコーヒーを啜るとその健兄は電話を切っていた。どうやら誰かとここで待ち合わせしていたようだ。


「もう一人くるからテーブル席に移動してもいいかな?」

「いいよ」

あたしはトレーに叔父の飲み掛けのコーヒーとケーキ皿を乗せてテーブル席を準備した。



席を移動して、そう待たない内にどうやら待ち人が来たらしい。

窓ガラスから見える外に健兄は手を振り掛けると、その人は店に入ってきた。

「いや、待たせな」

待ち人はそう言いながらテーブル席に着いていた。あたしは水とメニューを用意する。

二人は席に着くなり顔を近付けて話をしている。

あの連れも芸能関係なんだろうか?あたしはそんな事を思いながらテーブルに向かった。

「いらっしゃいませ」

「ああ、晶。コイツにもさっき俺が食べたセットを頼むよ」

「オケ」

注文を伝票に書き込むあたしの全身を、その連れの人は堂々とガン見してくる。

あまりにも堂々とし過ぎててかえって視線が気にならない──

なんとも可笑しな話だ…


「君、手脚長いね〜…顔も小さいし、身長いくつ?」

「170です」


「なるほど、八・五とは言わず、九等身だな!」

「はは、有り難うございますっ、お礼にお冷サービス!」

なんて言って一口分水を継ぎ足したあたしに健兄が吹き出してその連れの人も笑っている。

取り合えず掴みはオッケ!…と言ったところだろうか?

あたしはカウンターに戻るとマスターに注文の品を伝えた…

「なんだかな…」

厨房に引っ込んだマスターの代わりにあたしはカウンターで洗い物をしながら呟く。

自宅マンションに戻った夏希ちゃんと入れ替わりで、喫茶・和らぎを媒介とし、遠巻きながらここでは夏希ちゃんとの繋がりができつつあった。



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