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悪夢
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悪夢-1

夢を見た。
黒ずくめのスーツの男達が家を取り囲む。

危険を感じてとっさに窓から飛び降り、身をかがめた。
理解できない。
冷静に考えている暇はきっと与えられていないだろう。
家のまわりは田んぼだらけ。
このままだとすぐに見つかってしまう。
胸の嫌な鼓動に喰われないように、裏庭から続く河に出た。
裸足だからヒンヤリとした水が心地悪い。
そんなことにかまっていられない!
足音に気をつけながら、トンネルへと足を向かわせた。
トンネルは蜘蛛の巣だらけで、進むのを躊躇したが目をつぶり足を早めた。
このトンネルはだいたい500m程の長さ。
子供の頃よくかくれんぼや探険で活用したトンネルだ。
まだ、明け方だから暗くて助かった。
不意に家族の安否が気にかかり、進むのを躊躇った。
武器は何もない。
多勢に無勢。
なぜ追われたのかもわからない。
ドブ臭さにむせながら、真っすぐ進んだ。

気がつくと場面は変わり、よく行く名古屋の店先にいた。
!?
そこにも黒ずくめの男達が……
完全に身元が割れ追われていることを実感する。
家族は無事だろうか?
このまま逃げ続けるのか?
映画なら、対抗手段が用意されていて、復讐劇に転じるところだが、
何もない。
孤立無援。
抗うべきか屈するべきか。
場面はまた変わり、実家の近くの公園へ戻される。
家宅捜索のように黒ずくめの男達は家へと侵入しているようだ。
我慢くらべ。
苛立ちと絶望と怒りに打ちひしがれながら、時を待つ。
さまざまなプランが頭をよぎるが、すべて却下した。
勝ち目がない。
このまま………

!!?

そこで夢が醒める。
しばらくカラダの震えが止まらない。
夢だと把握できるまでしばらく時を要した。
安堵感。
カーテンを開けて外を眺めた。
いつもと変わらぬ景色。
匂い。風。
何を投影したものなのか、何を意味するのかは未だわからない。
まだいつもと変わらない現実を生きていく。
いつか忘れてしまうだろう。
そうまたあの夢を見るまでは……


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