平凡なひび-2
他にも何か言いたげな目を反らして夏希ちゃんはテレビを見る。
「晶さん…」
テレビに顔を向けながら夏希ちゃんは声を掛けてきた。
「何?」
「最初に言ったこと…訂正していい?…」
「最初?」
「うん…」
「何言ったっけ…」
「……──」
焼き飯の皿から顔を上げたあたしと夏希ちゃんの目があった。
「手…出さないって約束──」
「……」
「今すげー…手、出したい」
合わせた目を反らして言うとまた夏希ちゃんはテレビに目を向けた。
そっぽを向いて頬杖付いた夏希ちゃんの顔が徐々に赤くなっていってる…
思わず頬張った焼き飯を丸飲みしてあたしは呟いた。
「……それはまた…急な展開だね…」
「急じゃないよ」
「へ…」
夏希ちゃんは食べ掛けの焼き飯をあたしから奪ってテーブルに置いた。
「あれ!?…今、食べてる途中っ」
「後にして」
「あれ!?いきなりっ!?…」
「我慢できないから」
「てかあたし何も返事してないよね!?」
「後できく」
あれ!?
うそ!?
夏希ちゃんてめちゃくちゃゴーイング・マイ・ウェイ!?
・
蛍光灯が煌々と照りつける真下、床に引き摺り下ろされて何故か押し倒されてるあたし。
そこに覆い被さる夏希ちゃん。
かわいい弟みたいなんて思った罰か?
何気に息を切らして顔を上気させる夏希ちゃんは色っぽいって言っちゃ色っぽいんだけど…
「ほら、やっぱり俺の言うこと聞いてくれてないしっ…」
羽織ったシャツを肌蹴るとノーブラを見つけて夏希ちゃんは怒ったように言った。
「隠れさえすればいいかと…」
「こうなったのは晶さんにも責任あるからね」
え?そうなるの?
「あんな薄着でソファで寝てるしっ…」
寝巻着のこと?
夏だからそれは見逃して
「毎回目にするこっちの身にもなってよっ」
「……──だね…」
あはは…
もうごめんとしか言いようがない──
潤んだ瞳で見つめる夏希ちゃんの顔が赤い。
いい男はテレてもいい男なわけで思わず押し倒されたこっちが生唾飲んじゃいそうな…
「晶さん…」
「はい…」
「最初っからすげー好きだった…」
「……んっ…」
降りてきた唇と供に夏希ちゃんの手がノーブラの胸をまさぐった…。
・
はあヤバイっ──
夏希ちゃんの手が動く度に躰が反応する。
「ち、ちょっと待ってっ」
夏希ちゃんのキスと動きでよくわかる。
これは結構な手練れだわ!?
思わず反応する自分が恥ずかしい。
処女じゃないから今更、ここまできて止めてとはいわないけど──
「な、夏希ちゃんっ!!電気消して」
それくらいはして欲しい…
「…はあ…っ…大丈夫、晶さん綺麗な躰してるから…」
「──…っ」
腹部に顔を埋めた夏希ちゃんは顔を上げるとそんな言葉を放った。
「ああっ…」
長い指先が悪戯に滑り込む。
ああもうっ
久し振り過ぎるっ──
ってどのくらい振りだっけ?
高二から付き合ったバスケ部の彼氏と卒業旅行でシタっ切り──?
……──
「あはは…四年ぶりだわ…」
「……どうかした?」
地味にショックを受けるあたしに気付いたのか夏希ちゃんが息を乱しながら顔をあげた。
「夏希ちゃん…」
「………」
「四年ぶりだから処女膜再生しちゃってるかもしんない…」
「……っ…わかった…優しくする」
「っ…」
そう言った夏希ちゃんの指があたしの乳首をつまみ優しく口に含んでいた。
・
「ああっ…」
「はあっ…晶さん、脚長い…すごくきれい…」
乳首を摘まんで弾きながら夏希ちゃんはあたしの脚を片方だけ肩に担ぐと熱い舌を這わせた。
夏希ちゃんて脚フェチ?
うっとりとした濡れた瞳で見つめるとあたしの頬を撫でる。
ゆっくりと体を曲げると夏希ちゃんは近づけた顔を首筋に埋めて項を食むように攻めてきた。
チュッと何度も吸い付かれ
「短い髪もすごく似合う…」
そんな掠れた囁きに甘い痺れが全身を襲う。
「あっ…」
普段言われたことのない甘い言葉の羅列があたしを心地好く包み込む──
なんだかうっとりしてくる…
夏希ちゃんはあたしの顔を覗き込むと優しく唇を押し当てた。
「晶さん…今、すごくいい女の顔してるよ…」
そういいながら潜り込んだ夏希ちゃんの指が大きく円を描く。
ゆっくりと溶きほぐし、柔らかくなるように
大胆に
じっくり──
溢れてきた蜜の濃さを指先で確かめながら──
夏希ちゃんはあたしの両膝を抱えた。
「ごめん晶さん…っ…我慢できないから挿れるね…」
・
「ああっ──!」
ググっと下半身に圧力を感じた瞬間、痛いかもっ…
そう思ってぎゅっと目を閉じたあたしをとてつもない疼きが包み込んだ。
「ああっ…っ…」
やばいっ
なんだこれ!?
キモチイイっ──
元彼の力任せのセックスしか知らない躰が夏希ちゃんの柔らかく波打つ動きにしっかり反応している。
ゆっくりと腰を前後させた夏希ちゃんは強いため息を吐いてあたしをぎゅっと抱き締めた。
「はあっやばっ…晶さんのっ…すごい気持ちいい…っ…」
膣に収まったままじっと構える。
いい男の苦しそうな顔がまた堪らない。
夏希ちゃんてなんでこんな色っぽいんだろ……
あたしの躰の上で切ない表情を見せる夏希ちゃんに子宮がギュッと締まった気がした。
「……っ…あ…晶さんっ今締めたら射(で)るっ…」
夏希ちゃんの唇から切羽詰まった吐息が漏れる。
そんな表情に釘付けになってまた子宮がキュンキュン鳴った。
「ああっ…晶さんっまじで射るからっ…」
必死で我慢する顔が堪らない。
どうしよう…
夏希ちゃんとのセックスって萌えるっ!!…
耐えながらぶるりと腰を震わせる。
強引に押し倒してきたくせにこのヘタレっぷり。色っぽくてかわいい仕草にこっちが興奮してくる。