「ウソをつくつもりだった」-4
「出会ったのは友達のお見舞いに行ったとき。彼は隣のベッドにいたの。」
「彼と友達とあたしでよく話した。友達が退院したあとも、彼のお見舞いにあたし一人で何回も行ったの。」
「いつのまにか彼の病室は個室になってた。でもあたしは彼の病名も知らないし、いつか退院すると思っていた。」
「退院したら、どこ行こうか、二人でいっぱい話した。好きになっていたの。向こうもあたしのことを好きでいてくれた。お互いに確認しあった」
伸二のことを見る勇気はなかった。淡々と彼との思い出を語る。それであたし達が終わりになるなら、しょうがないことだと思った。
「彼は4月1日に手術をうけ、帰らない人となった。」
手術をする日に手紙をもらった。手術前にあたしに宛てて書かれた手紙を。
手術が終わったあとに、あんたのお母さんから受け取ったの。