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朝凪―あさなぎ―
【純愛 恋愛小説】

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朝凪-3


「大学時代は、お互いに色々あって」
「そうだ。ナツが他の男とデートしたことは忘れないぞ」

笑いながら言うんだね。

「博之だって、同じ学部の子と二人で飲みに行ったでしょ!」
「あれは違うだろ!」

私は、まだ笑えないんだよ。

「社会人になって。ちょっとおしゃれなレストランで食べたりしたよね」
「ああ。高校時代からは想像できないよな」

「ね!初めてのエッチ覚えてる?」
「覚えてるよ」

私たちの初めては高校生で。まったく上手くいかなくて。
それからずっと二人で笑い話になっていた。

「お互いに初めてだったんだよね」
「そうだった、なぁ・・・」

「キスもお互いにファーストキスで」
「うん。そうだ」
「それを言ったら手をつなぐのも、付き合うのも、だよ」
「うん」

私たちは、お互いに全部お互いが初めてで。

お互いしか経験なくて。
お互いしか目に入らなかった。

「楽しかったなぁ〜」
「そうだな」

「妊娠したかも、って慌てた時もあったよね」
「あったな」
「あの時、本当に妊娠していればよかった」
「ナツ・・・」

「あの時、結婚していればよかった」
「・・・・いや。これでよかったんだよ」

そう言う博之は少しさみしそうで。



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