前編-8
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脱いだドレスを籠に置き、乱れた髪を無造作に掻き上げて簡単にまとめる。
潔く晒されたビィーナスの全裸。
その姿があまりにも完璧過ぎて………
「……っ…」
私は慌てて自分の躰のラインを両手で庇っていた…
「ふふ…さあ、これなら問題ないでしょ?」
ちょっ…問題ありありだってばっ!!
比べること自体が間違えてる…
それはわかっているのに嫉妬心が自然と沸いてしまう。
憧れと羨みの狭間…
何だか複雑だ。
「早く」
心の奥底で葛藤する私を彼女は呼ぶ。
目もくらむ程の笑みを浮かべ、美しい妖魔が誘いを掛ける…
彼女はほどよい温かさのシャワーを私に向けるとそっとしなやかな指先で私の肌を撫でていた。
勝手がまったくわからない…
慣れない扱われ方…
今まで、味わった事もないような触れられ方に私の肌が正直に反応する………
「やっぱり綺麗よ貴方…」
「…っ!……」
背筋に添って這う指先が私を試すように上下に滑る。