悪鬼-10
「母さんが変態だったなんて悲しいよ」
暗い瞳で見おろしていた。
足の裏で母の頬を潰すように踏んだ。
「変態な母親には、たっぷりと罰を与えなきゃな」
タケルの足蹴にされたまま、母は、恭順を示すかのように小さく何度も肯いた。
鼻の穴まで吐瀉物で汚れている。
目を虚ろに開いているだけだった。
「お前のご主人さまは誰だ?」
暗い目で見おろしながら、訊ねた。
「タケル……さまです……」
母が切れ切れの声で答える。
「俺がご主人さまになって嬉しいか?」
「はい……」
「俺のためなら、なんでもするか?」
「はい……」
「お前は、なんだ?」
「タケル様の……奴隷です……」
「だったら、可愛がってやる」
タケルは、母を立たせた。
腕を持って、引き起こした。
壊れた操り人形のように、母がフラフラと立ち上がる。