strawberry-4
エロDVDを隠し持っていた俺を咎める桜井に腹を立て、
「じゃあお前はこういうのを観ても興奮しないんだな」
という俺に対し、
「絶対興奮なんてしない」
ときっぱり言い放った桜井。
ならば一緒に観て、本当に興奮しないのか確かめようという売り言葉に買い言葉の末、桜井が本当にウチに来る事になってしまった。
正直俺は、興奮するしないはどうでもよかった。
こういうのを観せられることを桜井は絶対嫌がると読んで、ならば不戦勝のような形で奴に勝てると思っただけだった。
だが、コトは思いがけない展開に転がってしまって。
負けず嫌いな桜井は逃げるみたいで嫌だったのか、エロDVDを一緒に観ることに頷き、そして今のこの状況に至るのだった。
弾みと言えば、仕方がないのだが。
桜井が俺の部屋にいる風景が違和感アリアリで、こちらまで落ち着かない。
でも、桜井はもっと落ち着かないようで、テーブルの前でオレンジジュースにも手をつけずにこじんまりと正座をしていた。
……なんで俺の部屋に初めて入る女の子が桜井なんだろう。
イチゴのヘアゴムを見ては憂鬱なため息が次から次へと出てくる。
これが学年一可愛い水野さんならば、俺は部屋の隅々まで掃除をして、きっとケーキなんか用意するくらいのテンションになっていたはずだ。
少なくとも、こんな汚い部屋に水野さんを招待なんてできるはずがない。
クルリと部屋を見回せば、布団がグシャグシャになったままのベッド、脱ぎ散らかしたままの部屋着、散乱した週刊少年誌。
普段のありのままの汚い部屋が、そこにあった。
「部屋、散らかってるけど別にいいだろ」
“どうせ桜井だし”と心の中で呟きながら、彼女を見る。
彼女も彼女で、そっけなく、
「別に汚い部屋の方が野々村っぽいし」
と吐き捨てるように言うだけ。
さらには、
「そんなことよりサッサと観せてよ」
と、こちらをジロリと睨むのだった。
……やっぱりこいつは可愛くねえ。