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友達ではいられない
【ラブコメ 官能小説】

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友達ではいられない-1

朦朧とした意識のなか、ぼんやりと目に映る啓太の部屋の天井が、やけに見知らぬ場所に思えて落ち着かない。

私の隣で息を整えている啓太が、再び口を開いたその時、きっと私たちの関係は終わりを告げるのだろう。

「はぁっ……」

啓太の深い溜息が聞こえる。

話があると言われてこの部屋に来て、ここまで私の勝手で引き伸ばしたのだ、さすがにいまさら逃げ出すわけにはいかない。

「あのさ、大事な話が……」
「ん、わかってるよ?」
「……え?」
「先輩と、春風先輩と付き合うようになったんだよね?」

私はニッコリと微笑みながら、精一杯の虚勢を張ると、涙がこぼれ落ちないように、啓太の胸元へと顔を埋めた。

「大丈夫だって!誰にも言わないよ」
「は?お、おい待てよ?」
「もちろん脅したりなんてしない」
「いや、だから待てって……」
「いいの!私は大丈夫だから、ね?」

何が大丈夫だと言うのか、自分で言っててもはやわけがわからない。

こんな、まるで同情を引くような言い方するなんて、最後まで私はずるい女。最低だ。でも、これで最後なんだから、今日で終わりなんだから、だったらせめて涙だけは見せぬよう……

「……いい加減にしろバカっ!」

怒号と共に両肩を捕まえれるや、無理矢理顔をあげさせられる私。

「どういうつもりだよ?」
「な、何が……かな?」
「大丈夫って、何がだってんだよ?」
「だ、だからそれは、先輩とのこと…… うっ 祝福…… ぐすっ わ、私は別に…… 全然大丈夫だから……」
「だったら、なんで泣いてんだよ?」

ボロボロとこぼれ落ちる大粒の涙。見られたくなかった、見せるつもりもなかったのに。これじゃまるで離れたくないと、そう言っているようなものじゃないか。

「ち、違うのっ これはその……」
「ああ、花粉症か?」
「そ、そう!それ…… いたっ!?」
「んなわけあるかバカ!」

そう言って私の頭を軽く小突くと、指先でそっと涙を拭いはじめる啓太。

「や、こんな時に……ずるいよ」
「なにがだよ?」
「優しくなんてしないでっ」
「無理だね?俺オマエが好きだもん」

私はその言葉に耳を疑った。同時に、啓太に怒りすら覚えてしまった。

これから振ろうという女に向かって、好きだなんて言ってどうしようというのか?二股なんてごめんだ、二番目になんてなってやるものか。いつかは啓太はこんな女たらしに……

「言っておくけど先輩の告白はその場でちゃんと断ったぞ?」
「…………え?な、なんでよ?」
「なんでもなにも、気がつけば断っちまってたわ」
「ば、馬鹿なの?」
「るっせい!仕方ねぇだろ?他に好きな女ができちまってたんだから……」

私は驚きのあまり再び目を丸くした。いつの間に?私の知らない間にそんな女がいたなんて、もはや二股どころの騒ぎじゃない。

私はあまりに予想外の展開に、すっかり二の句が継げなくなってしまっていた。


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