啓太の知らない私-2
私は手で口元を拭いながら、啓太をベッドに横たわらせると、その上に跨るように乗り上げては、自らの指でそっとブラウスのボタンを外しはじめた。
いつも成り行きで脱がされていたから、自分で脱ぐなんてちょっと恥ずかしい。でも、啓太が見てるから、少なくとも今は私だけを見てくれているから、その目を僅かな時間さえも逸らせたくなくて。
私は焦らすように、どこか見せつけるように、ゆっくりと啓太の目の前で服を脱ぎ捨てていった。
「相変わらず、でけぇおっぱいだな」
「誰がこんなにおっきくしたのよっ」
そう言って私は舌を出しながら、覆い被さるようにキスをした。
「啓太…… んっ あ、啓太ぁ……」
手の平で私の胸を包み込むように揉みしだく啓太。先端を指先で弾いたり、時々きつくつねってみたり。
その刺激に私の体は、いっそう熱く火照り上がってしまい、気がつくと両脚を大きく拡げたまま、擦りつけるように腰を前後に振りはじめていた。
「あ、あのね啓太？実は私さ……」
「うん？」
「実は私すっごいエッチなんだよ？」
「……知ってたよ？」
「も、もっとよ！？啓太が知ってる私はまだ、ホントの私じゃないもんっ」
そう言いながら私は、はしたなくも腰の動きをどんどん速めていく。
「んっ なんか啓太の…… またおっきくなってきてる？」
ぐにゃぐにゃと、押しつぶされていたはずの啓太の陰茎。ついさっき出したばかりの筈なのに、いつの間にかその形がはっきりとわかるくらい、太さも、そして堅さも取り戻すくらい、すっかり大きく膨らんできている。
「ねえ？……挿れてもいい？」
「そんなに俺のが欲しいのか？」
「ん、欲しい… 啓太のが欲しいの」
「なんだよ、今日はえらく素直だな」
意地悪な啓太の言葉をよそに、私は手探りでそれを握り締めると、ずらした下着の隙間から、くわえ込むように、ゆっくりと静かに腰を沈めていった。
「んやっ あ、はあぁ……っ」
思わず腰を震わせながら、感嘆の溜息を漏らす私。やっぱり指なんかとは全然違う。比べものにならないくらい太くて堅い。
「すごいっ あ、気持ち……いいっ」
私は恥ずかしさもさながら、我を忘れたように淫らに腰を振り乱した。
先端が膣壁を擦る感触、子宮の入り口を貫くような刺激、まるでひとりでは絶対に得る事が出来ないこの時間こそが、私の求めていたものだといわんばかりに、激しく腰を振り乱した。
「んっ や、すごいっ あぁっ なにこれっ すごい……気持ちいいよっ」
自分でも引いちゃいそうなくらい、驚くほどにいやらしい腰つき。いやらしく感じる動きほど気持ちがいいだなんてよく聞くけれど、本当だ、びっくりするくらい気持ち良くて、腰の動きが止まらない。
「ごめんね啓太？ んっ こんなエッチな女で……ホントごめんなさいっ」
何故だかわからないけど私は、必死で啓太に謝りながら腰を動かし続けた。
気持ちいい。どうにかなりそうなくらい気持ちいい。
これが最後だから、今日で終わりだからと、包み隠さず本当の自分をさらけだしてみた私。
けれど皮肉にもその結果、今更ながらにこんなにも啓太とのセックスが気持ち良かったのだと気づかされるなんて、愚かしい、つくづく私は馬鹿な女だ。
「啓太っ 気持ちいいよ啓太ぁっ」
私は両手を啓太のお腹につけたまま、一心不乱に腰を動かした。
膣内を中心に体全体へと駆け巡る激しい刺激。擦れるクリトリスもさながら、もはやどこが気持ちいいのかさえわからくなるくらい、快楽の渦に飲み込まれ溺れていく私。
「や、啓太っ んっ あ、ダメっ んやっ なんか、おかしくなりそうっ」
小刻みに収縮する膣内が、無意識に啓太の陰茎を締め付ける。
「んやぁっ う、ウソっ？ け、啓太っ なんか私っ イキそ……っ」
あれほどに回数をこなしても、絶頂にまでは至らなかったのに。快楽主義じゃあるまいし、イケなくても充分気持ちいいからと、なかば諦めてさえいたのに。
「けい……たぁ ん、ダメっ イクっ 私っ 啓太のでイっちゃう…… んああぁぁっ！！！」
そう叫びながら私は、ひときわ激しく腰を震わせたかと思うと、ビクビクと体全体を波打ちながら、生まれてこの方初めてとも言える深い絶頂を迎えてしまった。