光の風 〈帰還篇〉-8
そして辿り着く結論。
「魔物?」
「やな。結界ん中入ってきおった。」
紅奈とリュナはお茶の用意をしながら部屋で待っている。聖は貴未を呼びにきたのだった。
もちろんカルサも女性陣も気付いているだろう、この気配。
「オレらで十分だな、聖。」
「せやな。」
聖は貴未の肩を掴んだ瞬間、二人は部屋から一瞬にして消えた。誰もいなくなった部屋にひらひらと舞うものがある。
それは白い羽根だった。
「陛下?」
会議中にふと外を眺めるカルサに秘書官が声をかける。随分小規模な会議とはいえ、カルサが意識を他に向けるのは稀なことだった。
「いや、続けてくれ。」
不思議そうな顔をしたが、そう言われたら仕方がない。秘書官・サルスは話を続けた。カルサの表情がやわらかかったのが、気にさせない要因だったのかもしれない。
(あいつらが行ったか。)
信頼を寄せる二人がいち早く気付き、対応すべく現地に向かってくれた。それに気付いたカルサは嬉しかった。
いつもなら千羅や瑛琳が瞬時に対応してくれる。だが、二人はカルサの依頼により国外に調査に出ていた。
本来なら何をしてでも真っ先に自分が駆け付けなければいけなかったが、二人がいる。こんなに信頼できる人間が傍にいることの安心感をかみしめていた。
貴未の肩を掴んだ瞬間、景色がかわった。今二人がいるのは城外の小さな町のはずれ。二人の間に緊張が走る。
「この辺りだな。」
「ほんま便利やな、自分のその力。」
関心するように言った聖の言葉に貴未は苦笑いした。そしてすぐに意識を周りに向けた。
聖は周りを気にしつつも貴未を見ていた。どうしても気になることがある。
でもそれ以上に思うところもあった。だが、今は目の前の出来事に集中しなければいけない。目を閉じて気配を探る。
「何かおるな。」
「あっちだ。」
気配のもとをたどり、二人は走りだした。少し走ったあと、二人は一点を見て立ち止まる。木々が生い茂る林の中にそれはいた。
ゆっくりと近づく。
《人間…強い…人間…》
暗く輪郭ははっきりしないが、それは大きいと分かる。木々に馴染むほどの高さ。
「強い人間ならここにいるけど?」