光の風 〈帰還篇〉-6
ふとカルサの横にいたリュナに目をやり、聖は話しかける。
「風神、やったな。」
「はい。リュナと言います。」
「噂は聞いてたで。オレは聖、一応この遠征チームの責任者や。よろしくな。」
聖はリュナの目の前に立ち、握手を求めるために手を差し出した。リュナはそれに応える。
「んで、ウチが紅奈や。」
二人の握手されている上に勢い良く手が重ねられた。自らの名を名乗りながら現れた女性、紅奈。驚いて固まっているリュナに軽くウィンクをしてみせた。
「久しぶりやなぁ、カルサ!ちょっと年くうたんとちゃう?老けたで?」
「余計なお世話だ。」
「んで、何あんたら。付き合うてる訳?そんな雰囲気あんねんけど、なぁ聖?」
「オレに言いなや。」
唐突な質問にカルサとリュナは一気に固まった。にやにやしながら紅奈は二人の返事を待つ。
「何言いだすんだ、お前。仮にもこの場で話す内容ではないだろう。」
カルサは顔を赤くして慌てながら答えた。見事にいい反応、隣のリュナも赤くなって俯いていた。
「ええ反応やん。これはもっと聞きたいとこやけど…。」
紅奈の言葉に二人は過剰に反応した。それは困ると顔が訴えている。
「やめとくわ。この場では国王陛下にあんま無礼な事言われへんし?」
そう言うと、紅奈は改めてリュナの前に立ち手を差し出した。
「ウチは紅奈。聖の双子の妹で、軍隊に所属してるんや。よろしくな。」
「こちらこそ!リュナ・ウィルサです、よろしく。」
リュナも手を差し出し握手をする。貴未が言っていたように、おもしろい人たちだとリュナは思った。数少ないカルサの仲間、理解者達。少しずつカルサに近付けている気がしてリュナは嬉しかった。
「あとでお茶でもしませんか?貴未も帰ってきているし、疲れていると思うから良かったらでいいんですけど…。」
申し訳なさそうにリュナは二人を見た。双子は優しそうにほほ笑み、代表して紅奈が答える。
「楽しみや、喜んで行かせてもらうわ。」
嬉しい答えにリュナは笑顔になる。そんな微笑ましい光景をカルサは優しい表情で見ていた。少しずつ自分の世界にリュナが溶け込んでくる。それは嬉しいことだった。
「堅苦しいのは嫌やなぁ。もっと話しやすい喋りしてくれんか?」
「え?」
「敬語。リュナはカルサの仲間なんやろ?せやったら無条件でウチらも仲間や。遠慮はなしやで。」
突然の申し出にリュナはとまどい、カルサを見た。カルサは優しい笑顔で頷く。リュナはもう一度視線を二人に戻し笑顔で頷いた。
三人の間にもう遠慮はいらなかった。