狂乱のあと-4
「ここがタカの家なの?」
すぐにでもシホの奪還に向かいたい気持ちは強かった。
だが、コトリをひとりにしておくわけにはいかない。
「ああ。」
思案した挙げ句、タカはしばらくの間コトリを実家に預けることにした。
「おっきな家だね。」
ふたりはタカの実家の前に立っていた。
心なしか、コトリの表情が明るい。
「そっか?」
コトリと手を繋ぐタカの表情にも不思議な明るさがあった。
「大丈夫か?」
ついさっきまで、ベッドの中で愛し合っていたふたり。
朝はデカさも増し増しだから、さぞ辛かったろうに、最後までコトリは我慢して、ずっとタカにしがみついていた。
「なにが?」
照れているのか、コトリは敢えてクールをよそおい、とぼけるように視線を逸らせる。
ベッドの中では、玩具のような愛らしい性器からタカの精液を溢れさせていた。
タカを見上げる瞳にうっすらと涙を浮かべていたのは、痛かったからなのか、それとも嬉しかったからなのかは、わからない。
どちらにせよ、コトリはちゃんとタカを愛してやれる体になった。
それが、多少なりともコトリには嬉しいことらしく、その嬉しさが、コトリの顔からわずかながらも憂いの表情を消している。
「えっと・・ふつつかものですが・・。」
てなわけで、本気でタカの戸籍に入るつもりになったらしい。
「なにしてんの、お前?」
「あいさつの練習。もうすぐ家族になるんだから、ちゃんとお父様とお母様に、あいさつしなきゃ」
今の時代、そんなこといわねえぞ。
ほんと、つまんないことばっか覚えやがって・・・。
「ほれ、行くぞ。」
タカは、コトリの手のひらをギュッと握りしめた。
コトリも強く握りかえしてくる。
それも面白えかもな・・・。
タカにしたところで、このままコトリと家族になってもいい気がした。
となりにいるのは、たった9歳の女の子。
でも、ちゃんとタカを愛してくれる女の子になった。
二度と手放せなくなった大事な宝物の手のひらを包んで誓う。
ずっと一緒にいるさ・・・。
「ただいま。」
タカはコトリと手を繋ぎながら、久しぶりの我が家へと帰った。
繋いだ手のひらは、離さなかった。
しっかりと握りあったふたりの手は、永遠に離れることはないと互いに教えあっているようだった。