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可愛い弟子
【ロリ 官能小説】

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狂乱の夜-33


「きゃあああっ!」

突如、背中から湧いた鋭い悲鳴。

「シホっ!!」

慌てて振り返ると、シホが黒ずくめの男に髪を鷲掴みにされていた。

「よう、兄ちゃん……。見せつけてもらって申し訳ねえが、こいつは俺のもんなんだ。悪いけど、返してもらうぜ……。」

シホの髪を握ったまま、黒ずくめがいった。

こいつが、シホの……。

てめえがド変態オヤジか!と悪態をつきかけて、とっさにその声を呑んだ。
コトリの耳に入ったらやばい。
コトリは、シホの腕に抱かれたままだった。
あいつは何も知らない。
近親相姦の果てに生まれた子だなんてわかったら、コトリが傷つくことは必至。
じっ、と黒ずくめを睨めつけた。
黒ずくめは、羽交い締めにしたシホとコトリを盾にしながらジリジリと回って、ベンツのほうへと向かっていく。

あれで逃げる気か?

させるわけにはいかなかった。
ベンツの中に逃げ込まれたら終わる。
ナイフ野郎のときと同じように、爆音だけを残してあっという間に暗闇の彼方に消えてしまうことになる。
そうなったら手の打ちようがない。
何とかしなければ。
だが、格闘をやっているものならばわかるが、「格」という目に見えないオーラは確実に存在し、そして、黒ずくめの身にまとう強烈なオーラが、なかなかオレを容易に踏み込ませなかった。
張り詰めた空気が伝播したのか、シノちゃんと第3の男も、じっと互いを見合ったままで指先ひとつ動かさないでいる。
シノちゃんと第3の男は、ベンツの真後ろで対峙していた。

「シノちゃん、離れてろ……。」

どうにも正攻法では、うまくいきそうにない。
玉砕覚悟で突っ込むつもりだった。
乱打戦に持ち込むことができれば、勝機が見えるかもしれない。
しかし、何が起こるかわからないから、できるだけ人払いをしておきたかった。

「タカさん……大丈夫ですか?」

シノちゃんの声にも不安の色がある。
シノちゃんにも気配で黒ずくめの男がただ者でないと気付いたのだろう。

「わかんない。でも、やってみるしかなさそうだわ。」

「では、気をつけてください。」

シノちゃんの視線は、第3の男に向けられたままだった。
タカにいわれたとおり、ジリジリと下がりながら第3の男との間合いを広げていく。
タカの斜め後ろでは、陸上さんたちがゴリラどもと闘っていた。
圧倒はしてるが、まだ、とどめを刺すまでには至っていないらしい。
決め手を欠いて、泥沼化しているといったところだった。

「動くな、コトリ……。」

お転婆娘は、シホごと黒ずくめの男に抱きかかえられていた。
男の腕に、いまにも噛みつきそうな顔になっている。
目を見ればコトリの考えてることなんてすぐにわかる。
ヘタなことはさせたくなかった。
あいつに逆らえば、たとえ子供でも容赦はしない。
そう思わせるだけの冷酷な眼差しが、タカに向けられている。
大きく息を吐いて、腰を落とした。
最初の跳躍にすべてを掛ける。
その一歩で奴との勝負が決まる。
いつの間にか、背中にびっしょりと汗をかいていた。
覚悟を決めたものの、なかなか、その一歩が踏み出せない。
恐ろしいのではなく、奴にまったく隙がないのだ。

しょうがねえ……。
一か八か……行ってみるかっ!!


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