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可愛い弟子
【ロリ 官能小説】

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狂乱の夜-26



「和磨ぁっっ!!!」

男の後ろでシゲさんが叫んだ。
オレが目の前にいるにもかかわらず、その声に反応して男が呆気なく振り返る。

「よう、いっちゃん、久しぶりだなぁ。」

「カズ!おとなしくこの場から立ち去れ!」

シゲさんが木刀を構える。

「なんだよ、久しぶりに会ったってのに、ずいぶんとつれねえじゃねえか。」

男は臆する様子もない。
シゲさんは冷静だった。

「タカ!シホのところに行け!」

あ、いけね、忘れてた。
慌ててベンツを飛び越え、オフロード車に向かう。
ドアは、まだ開いていた。
黒い車体に背中をもたれさせて地面に置かれていた白い肌。
なぜかシホは車の中に放り込まれていなかった。

「シホっ!」

慌てて駆け寄ろうとしたところで、目の前に立ちふさがったのは、さっきとは違う影。

まあ、そうなるわな……。

「どけ……。」

いってみたが、相手に動じた様子はない。
ずいぶんと痩せた男だった。
年齢は、たぶんオレと同じくらい。
身長は向こうのほうが少しだけ低い。
ラッキー♪
なんて思ったのも束の間、にらんだ先で男がスーツの内側に手を入れていった。
抜き出した手のひらに握っていたのは、暗闇の中でも鋭い光りを放つナイフ。
すっと、がに股になって腰を落とした奴は、低い姿勢を保ちながらオレに向かって独特の構えをとった。

げっ!こいつナイフ使いかよ!?

持ち方で慣れているとすぐにわかった。
マントゥマンの格闘戦なら、おそらく地上最強はナイフ使いだ。
修練を極めたナイフ使いに適う奴はまずいない。
ただし、修練を極めたら、の話しだ。
互いにジリジリと摺り足で移動しながら、円を描くように対峙した。
描いた円はなかなか縮まらなかった。
ナイフ使いの前に迂闊に飛び込むなんざ、殺してくださいと言っているようなもんだ。
向こうが先に動くのを待っていた。
どんな格闘でも先手を取るのが基本だが、ことナイフ使いに関してだけは勝手が違う。
相手の動きを何手先まで読めるかが勝負の分かれ目になる。
こいつは左手にナイフを握っている。
胸の下に構えていた。
手の甲が上になっていた。
ってことは、利き腕じゃない。
こっちはブラフだ。
本命は右。
きっと途中で右手に持ち替える。
ってことは、オレよりも背が低いから、まずは下から入ってきて、左手はブラフだから、えーと……。
先に動いたのは向こう。
やっぱり下から入ってきたが、突いてきたのではなく、払うように横一線にナイフを走らせた。
入り方もうまかった。
左手に移動しながら、右と思わせて、そのまま左側から姿勢を低くして入ってきた。
流れるように入ってきたものだから、わずかに対処が遅れた。
大きく伸ばした奴の腕が、オレの腹をかすめていく。
そのまま返す刀で、反対に払ってくると思っていたオレの意表を突いて、奴は流れのままに、くるりとその場で一回転すると、今度は下から腕を伸ばしてナイフを縦に走らせた。
地面すれすれの位置から、驚くほど態勢を低くした奴のナイフが、一直線に真上に上がり、オレの鼻先をかすめていった。

あ、あっっぶねえええええぇぇ!!

たった2度だけの単調な攻撃で終わったから助かったものの、あれを連続でやられていたら、オレは間違いなく血塗れになって地面に転がっていただろう。
奴はなぜか単発で攻撃を終わらせると、わずかに間を開けてオレとの距離をとった。
間を詰めようと踏み出した瞬間、耳元を何かがかすめ、パン!と遅れて乾いた音が耳に届いた。

「ミノ!なにしてやがる!さっさとそいつを叩っ殺して女を連れてこい!」

オレに銃口を向けながら叫いていたのは、3人目の男。

やば……飛び道具まで出てきたよ……。

ベンツのドアを楯にしながら、そいつはオレに銃を向けていた。

前門の狼、後門の虎とは、まさにこのこった。

「キェェェェェェエッッ!!!」

そのとき突然湧いた、けたたましい叫び。
大和撫子だろうが女の子だろうが、剣道の気合いはすさまじい。
腹の底から響くような掛け声とともに、だんっ!と一気に踏み込んだシノちゃんは、5メートルほどの距離を一瞬にしてゼロにしてしまい、3人目の男が持っていた銃を木刀で華麗に叩き落とした。

「タカさん!こっちはまかせて!」

うは♪惚れちゃいそう。
銃にもビビらず、毅然と立ち向かっていくあたりは、さすが春雷重丸の娘。

あいよ、と心の中で返事をして、視線を戻した瞬間だった。
いきなりオレの視界を塞いだ黒い影。
ナイフ使いが、目の前に立っていた。
目の前なんてもんじゃない。
まさに目と鼻の先。
オレの腹を押していたのは、奴の握るナイフの切っ先。

まずった!


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