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可愛い弟子
【ロリ 官能小説】

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狂乱の夜-13



暗闇からハマーが現れた。
アパート前の外灯下に姿を出して、すぐにまた闇の中に消えていく。
灯りの下に停めるほど、あいつ等もバカじゃない。
わずかに通り過ぎてから、ストップランプが明滅する。
停まるのと同時に、ハマーから走り出した三つの影。
車体のドアは開けたままだった。
さすがにあいつ等は慣れてやがる。
大柄なふたつの影が素早く階段を駆け上がっていく。
タンとハツだ。
階段の下で止まっている影がミノ。
タンとハツが目的の部屋の前に辿り着いた。
あとはドアをそっと開けるだけ。

(鍵は電気メーターの裏側にある。それを使って、中に入れ……。)

隠し場所は、あらかじめタンたちに教えてあった。
さすがにオジキだ。
鍵の隠し場所まで知っているとは恐れ入る。
ここに来るまでに、ツグミを見つけたカラクリを教えてくれた。

「たまたま偶然だったのさ……。」

無駄な争いごとを好まないオジキは、ムショの中では模範囚で通っていた。
模範囚として一定の期間が過ぎると、ある程度行動にも自由が与えられ、官の許可する新聞や雑誌の閲覧が許されるようになる。
そして、いよいよ出所が近付いてくると、これから出ていく社会に対して免役を持たせるためにテレビ鑑賞なども許可されるようになる。

今年の初めのことだ。
オジキがなにげに眺めていたローカルのニュース番組で、大学のイベントを紹介する放送が流れていた。
とある大学のキャンパスクイーンが、どこかの市長を表敬訪問する内容だった。
ほんのわずかな短いニュースだったが、その中でオジキは見つけたのだ。
一瞬だったが、見逃しはしなかった。
忘れようとしても忘れられない顔。
高校時代からの因縁のライバル。
そして、オジキをこの監獄へと送り込んだ裏切りの男。
重丸伊左久は、確かに画面の中にいた。
たとえほんのわずかでも、あいつの顔を見間違えるわけがない。
あっという間に番組は終わってしまい、子細を確かめることはできなかった。
オジキは、放送を流していたローカル局に手紙を書いた。
放送日の時間や内容から、どこの大学であるかを確かめようとしたのだ。
本当は表敬を受けた市庁舎を聞き出したいところだったが、それでは政治思想を疑われて手紙は受理されない。
だから、大学と書いた。
官には、景観のよいところだから出所したら訪れてみたい、とだけ告げた。
なんの疑いも持たれずに封書は受理された。
そして、返ってきたのが出掛けに見せてくれたあの手紙だ。
表には「如月和磨様」
裏には、テレビ局の名前の入ったスタンプ。
そして、封書の開封部分には検閲済みを示すマル検の赤い文字。
上白紙の便せんには、放送された大学名とその所在地が記載されていた。
親切心のつもりだったのか、わざわざ番組で紹介されていたキャンパスクイーンの名前までもがご丁寧に書いてあった。
その名前を目にしたオジキは、笑いが止まらなかったに違いねえ。
すぐに弁護士を呼んで、調べさせた。
場所がわかってるんだから、難しいことがあるはずもねえ。
じっくりと時間を掛けて丹念に調べた。
そしてツグミの居所を突き止め、習性を知った。
あいつはガキの頃から隙間に物を隠す癖があった。
大人になった今でもそれは変わってなかったらしい。
俺たちが血眼になっても見つけられなかったツグミを、オジキはムショの中から見つけ出しちまいやがった。
さすがにオジキだ。
感心するしかねえ。
だが、不満なこともある。


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