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可愛い弟子
【ロリ 官能小説】

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裏切りの男-3



県の主導で動き出した、新臨海工業地帯造成工事。
過去にも例がないほどの、国を捲き込んでの一大プロジェクト。
本来、これだけのでかい工事ともなれば、大手ゼネコンや総合商社あたりが幅を利かせるところだが、マニフェストに地元企業の保護を掲げてきたこの先生の強い働きかけもあり、多くの工事は地元土木業者に発注される。
もし、権利を得れば、長期に渡って莫大な利益が転がり込むは必然。
当然、多くの業者が、この事業への参入を希望した。

「もう、動き出しているのだ……。誰にも止めることなど出来ん……。」

だが、この入札は初めから出来レース。
一部の地元業者は、互いに結託し合い、すでに工事の発注先までが決まっている。
その元締め役として、陰で糸を引いていたのが本間興業。
この大先生を、ずっと裏で支えてきた自称コンサルティング会社。
地元では、少しは名の知れた大手企業だが、その実態は紛れもない暴力団。

「本間会などに頼らなくとも、わしの力だけで何とかしてみせる……。」

この先生のバックには、本間会がついている。
その力を背景に、これまで幾多の選挙を勝ち抜き、影をちらつかせながら、議会に派閥を広げてもきた。
しかし、今回に限っては、その本間会を当てにすることは出来ない。
これが本間会の知るところとなれば、この先生の立場が危うくなるは明白。
よりによって、敵対する阿宗会に情報を漏らしていたのだ。
その阿宗会が、今まさに本間会の牙城を揺るがそうとしている。

「先生!待ってください!芸津ビルの奴らって、まさか……」

昨今の日本の国際化は、なにも大都市ばかりに限ったことではなく、この本州の最北にある青森にあっても例外ではない。
勢力としては極少数だが、本町あたりの繁華街には、実態が明らかになっていない外国人マフィアが少なからず存在する。
中でも比類ない凶悪さで、ヤクザよりも恐ろしいと噂されているのが、芸津ビルに巣くうタイペイマフィアの一味。
2年前に起きた中国人売春婦殺害事件は、他の組織に鞍替えしようとした女を、報復目的で奴らが殺したものだ。
若く美しい女性であったらしいが、他の女たちへの見せしめもあり、彼女は両の乳房は切り取られ、性器をナイフで抉り取られて、顔はバーナーで無惨に焼かれていた。
幾多の凄惨な事件現場を目撃してきた鑑識課員でさえ、あまりの惨たらしさに嘔吐した者がいたというのだから、その残忍さが窺える。

そのタイペイマフィアを使おうというのか?……。

「奴らなら、わずかな金で簡単に動く……。」

「そんなことをすれば、益々立場が危うくなるだけです!!」

市政、県政と着実に歩を重ね、次にこの人が狙うのは国政への参加。
衆参同時選挙が行われる来年には、衆院戦への出馬を表明する。
地盤固めも、ほぼ終えて、後は運命の選挙を待つばかり。
そこに降って湧いたスキャンダル騒ぎ。
よせばいいものを時流に乗るとかで、他党が開いている児童ポルノ規制法案の勉強会に顔を出した。
折しも、ちまたでは援助交際が社会問題となり、マスコミが児童ポルノ法を、しきりに活字にして騒いでいた時期。
政治家などというものは、ハクを付けるためなら、どんな薄いメッキでも付けたがる。
そこで懇意になった衆院議員。
おそらく奴も、顧客のひとりだったに違いない。
元々、児童ポルノ法など話題集めでしかなかったこの先生は、あっけなく、この悪徳代議士が教えた遊びに夢中になり、児童虐待の被害者を救済するどころか、加害者側に回っていった。
どんなに頼んでも、やめてはくれなかった。
そして、ツグミが母親と称して連れてきた女。
あれに母親は、いない。
トリヤマと、この先生の間で、どんな会話がなされたのかは、容易に想像がつく。
ヤツは、先生から俺を引き離したがっていた。
絶対に証拠を残さぬようにと、口が酸っぱくなるほど言い聞かせてきたのに、先生は、まんまと奴の口車に乗せられた。
俺の目を盗んでまで、抱きたがった女たち。
か弱き娘とその母親。
金で自由に弄び、あまつさえその行為を母親にビデオで撮らせた。
これが事実であるならば、倫理もクソもない、まさしく非道で卑劣な行為。
そして動かぬ証拠を握られ、それを利用されて、今、まさに瀕死の状態に喘いでいる。

自業自得だ……。

俺は、こんな奴のために、なぜ必死になってるんだ……。

県議会の中では、絶大な影響力を持つ人だった。
たとえ黒い噂が断たなくとも、政治家としての力は魅力的だった。
この人の後押しさえあれば……。
見知らぬ土地で、なんの後ろ盾も持たない俺が、政治家としてのし上がっていくためには、どうしてもこの人の力が必要だった。

理念は、後からついてくる。

そう自分に言い聞かせていた……。


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