わずかな光-5
「で、タカに聞いてもらいたいのは、ここからなんだ。」
レンが、いつになく真剣な顔つきになった。
「どうして、そのビデオが回収されたと思う?」
「わかんね。」
「実はね、そのビデオに映っていた人物。
女の子とお母さんの方じゃなくて、男の方に問題があったんだ。」
「男の方?でも、キョウコのビデオは、男の顔はわからないようにしてあったぞ。」
そうだ。キョウコのビデオは、巧みなカメラワークで、男の顔が画面に映らいようにしてあった。
「どうやらね……。」
レンが声を潜める。
「プライベートビデオだったらしいよ。」
なぜ、声を潜める?
「プライベートビデオ?じゃあ、別に作品として創った訳じゃないのか?」
「うん、どうもそうらしい。」
「で、その男ってのは?」
レンが大きく息を吸い込んだ。
「たぶんタカも知ってるよ。」
「えっ!オレが?」
「ああ……青森選出の国会議員。」
「国会議員!」
「そう、名は、五所川原与作。」
五所川原与作!!!
?????
「誰だそれ?」
「えっ!?タカ知らないの!?すごく有名じゃない!」
「そ、そんなに有名な奴なの?」
「当たり前じゃない!?何言ってるの?
児童ポルノ規制法推進派の急先鋒で、ボクたちの天敵とも言える男だよ!
そんなのも知らないの!?」
そんなの知るか!!!!
お前らの天敵なんざ知らん!!
でも待てよ……。
児童ポルノ規制法推進派の急先鋒?
そいつが、そのビデオに?
「それって、すごくマズいんじゃね。」
「マズいなんてもんじゃないよ。バレたら政治生命どころか、社会的にも抹殺されるね。」
そりゃ、慌てて回収するわな。
「でも、それがキョウコとなんの関係が?」
そんな野郎の政治生命が絶たれようが、地位を剥奪されようが、知ったこっちゃない。
自業自得だ。
それより、こっちはキョウコを探してんだ。
「もう……タカって、意外と鈍いんだね。」
「なんだと?」
「いい?売りに出されたのが、たった一晩で、それもすぐに回収されたってことは、何らかの取引があったと思わない?」
「うん……そんな気はする。」
「もう!……いい!取引があったってことは、五所川原は、このビデオを創った奴らを知ってるってことだよ!」
「あっ!」
そうだ。取引があったとすれば、それは相手があってのこと。
つまり、五所川原は、このビデオを創った奴らを知っている。
「と、言うことは?……」
「五所川原を探れば、ビデオを創った奴らがわかるってこと。
そうすれば、サカイ先輩の居場所も……。」
でかしたレン!!!