はじめて……-4
「なに、これ?」
床がヌルヌルしてるのに、気づいて、シホは不思議な顔。
「ローションだよ!」
うわちゃ……この爆弾娘……。
「ローション?」
すぐに察したらしかった。
「へぇー……。」
シホの冷たい目が向けられる。
い、いや……その……。
「無茶しないでって……言ったわよね。」
すげえ怖い顔で、ニラまれた。
し、してないです。まだ……。
「楽しいよ!」
コトリは、まったく無邪気なもん。
お前、この状況を理解してるか?
「そうなの?じゃあ、ママも入っちゃおうかな。」
えっ?
ほんとに、裸になって入ってきた。
何か、吹っ切ったなお前……。
コトリをオレにくれると言った女。
夕べ、ふたりで尽くすと誓ったばかり。
そんなに広くもない浴室。
3人は、さすがに定員オーバー。
オレだけが、バスタブに浸かることに。
「だいじょうぶ?痛いことされなかった?」
シホは、コトリを胸に抱いて、愛しげに頭を撫でている。
「一杯、された……。」
シホの胸に顔を埋めながら、コトリは、甘えるような声。
コラ!コラ!お前から誘ったんだろうが!
そうだ……コイツは、全部シホにチクってやがったんだ。
今まで、コトリにしてきた悪行は、すべてシホにバレバレ。
「悪いお兄ちゃんね……。」
返す言葉もござんせん……。
「でも、やさしいよ。」
コトリの声に、シホが、顔をほころばせる。
「そうね。」
うーん……褒められてるんだろうが、この状況下で喜んでイイもんなのか……。
愛しむように、シホが、コトリの頬にチュッとキスをする。
ついばむように、何度もコトリの頬にキスをした。
慈愛に満ちた眼差し。
それは、ひな鳥を守る、親鳥の姿。
まさしくコトリは、シホのひな鳥。
コトリも、なんだか嬉しそう。
でも、シホのキスが止まらない。
コトリの顔中にキスをしていく。
えーと……。
シホが、コトリの頬を手のひらに挟み込む。
そして、そっと小さな顔を上向かせると、シホはコトリに唇を重ねていった。
えっ!?
コトリは、静かに目を閉じたまま。
まるで、そうされることが当たり前みたいに、動かない。
なんだ!?
ふたりとも膝立ちのままだった。
互いに向き合って、コトリの両手は、遠慮がちにシホのお腹に回されている。
ちょっと官能的なシーン。
ふたりとも、すっ転ぶなよぉ。
床の上はローションまみれ。
なんなんだ、いったい!?
オレの視線なんか気にしちゃいない。
(あの子は、私のものよ……そして、私は、あの子のものだわ……。)
なんか、そんなこと言ってたな。
ただの揶揄だと思ってた。
こういう意味か?……。
シホが、コトリを引き寄せて、腕の中に入れ行く。
唇は、重ねたままだった。
コトリの頬を挟んだ手が、少しずつ下りていって、やさしげにコトリの背中を撫でる。
左手は、支えるようにコトリの背中を抱いている。
右手が、コトリの小さなお尻を撫ではじめた。
その手は、すぐに前に回って、コトリの股間に潜っていく。
手のひらをやさしく添えるように、シホが、コトリの性器を撫でさする。
そろえた指の一本が、わずかに埋められると、コトリが喉の奥から、小さな呻き声が洩れた。
「ふんっ……んっ!……うっ……」
繊細だけれど、ひどくいやらしい指使い。
コトリのまぶたが、ピクピク動く。
みるみる、ほっぺが赤くなっていく。
でも、コトリは動かない。
まるでシホに身をまかせているよう。
ようやく唇が離れると、コトリは赤い顔。
「ママ……タカが、見てるよ……。」
「恥ずかしいの?……」
息をするのも忘れて、食い入るように眺めてた。
すげっ……。
「タカ君のために、エッチな子になるんでしょ?」
からかうような声。
「ママが、取っちゃってもいいの?」
「だめぇ……。」
指は、まだいやらしく動いていた。
「取っちゃおうかなぁ……。」
「だめぇ。」
コトリは、身体に力が入らないようだった。
重力にまかせるように、ふたりの身体が、静かに床の上に倒れていく。
シホは、コトリをそのまま腕の中に入れた。
白い指は、生き物のように動き続けた。
「あぁ……ママ……。」
コトリは、感じていた。
オレの時とは比べものにならないくらい、熱い吐息で応えていた。