見えない正体-18
「おい……」
三隅が、顎をしゃくると、背後のふたりが動き出した。
「如月……テメエに面白えもんを見せてやる。」
残忍な笑みだった。
初めから用意されていたのか、窓際の壁に大きなスクリーンが広げられる。
もうひとりは、三隅の座るソファの前のテーブルの下からプロジェクターを取り出し、それを、テーブルの上へと置いていった。
「感謝しろよ。わざわざテメエのために、こんなでけえスクリーンで特別上映してやるんだ。」
三隅は、卑下た笑いを浮かべた。
すぐに、部屋の灯りが落とされた。
和磨は、身構えた。
耳をそばだてて、気配を探った。
あのふたりは、動いていない。
プロジェクターのレンズから、強烈な光がスクリーンに向かって放たれた。
まぶしいくらいに部屋の一隅が照らされ、和磨の正面に3人の姿が浮かび上がる。
三隅は、ソファにふんぞり返って、足を組んでいた。
手にリモコンらしきものを持っていた。
まだ、和磨はスクリーンを見ていなかった。
この状況下で、奴らから意識を放せば、間違いなくやられる。
しかし、スクリーンに映し出される影は、目の端で捉えていた。
「ああっ!!……。」
突如として聞き覚えのある声が、スピーカーから大音量で流れだした。
なにっ!?
それまで、奴らに向けていた意識が、たちまち切れた。
思わずスクリーンに目を向けていた。
聞き覚えのある声。
スクリーンの中で絡み合っていたふたつの裸体。
背筋を冷たいものが駆け抜けた。
心臓が凍りついた。
「美羽……」
唸るように、声に出していた……。